~ポストコロナ社会へ向けてのデジタル変革の担い手として~
世界的なパンデミックの状況の中で、社会経済情勢は、昨年と比べると、景色は全く異なりますが、通常の自然現象(太陽を回る楕円軌道による地球の公転)によって、新しい年を迎えました。そこで、今回は、今年の抱負について述べさせて頂きます。
私自身のイノベーションを主導する企業の経営方針として、経営資源の配分として「今日の仕事に70%」「明日の仕事に20%」「明後日の仕事に10%」が適切ではないかと考えております。新年を迎えて「今日」「明日」「明後日」のために何をするかという視点から述べてみたいと思います。
「今日の仕事」を明確化するために、当社の歴史を振り返ってみます。当社は、日本初の専業インターネット・データセンター企業として区切り良く2000年に創業しました。各種ポータルサイトやEコマース等インターネットを利用した無数のドットコム企業が生まれた頃でした。多くのドットコム企業が消滅する中で、当社の顧客は、ヤフー株式会社を始めとする勝ち組企業であったため、昨年(2020年)創業20周年を迎えることができ、昨年2月10日に記念パーティを開催し、当社と関係の深い通信キャリアや学識経験者の皆さんに祝辞を頂きました(20周年記念特別サイト「登壇者様のご発言ご参照:https://www.bbtower.co.jp/special/20th/party/」)。これまでの20年は、Dataセンターカンパニーとしての20年でした。
データセンターとは、企業ユーザーが保有するコンピュータ資源を預かり(コロケーション、あるいはオンプレミスと呼称)、インターネットに接続するというビジネスモデルです。換言すれば、ISP(Internet Service Provider、インターネット接続事業者)の変形として生まれた加入者を持たないISP事業モデルです。その後、2006年に当時米国グーグル社のCEOだったエリック・シュミットが「クラウド」という言葉を提案し、企業ユーザーはコンピュータ資源を保有せずにサービス事業者のコンピュータ資源を利用するようになり、今日のクラウドサービス全盛時代へと発展しました。当社も20年の間に自社データセンターサービスと共に、自社クラウド(c9)サービスに加えて、AWS、Azureなどのメガクラウドサービスの代理店サービスを提供するようになり、クラウド事業の成長が続いております。このような歴史的経緯から、当社にとっての「今日の仕事」は、データセンターサービス、クラウドサービス、およびこれを支援するストレージソリューション(データを記録、保存する)です。
では、次に「明日の仕事」について、考えるために、今起こっている社会の変化について考えてみたいと思います。20周年を迎えた当社にとって(当社だけではなく社会全体)の大きな変化は、新型コロナウイルス感染症の拡大という大災害でした。このコロナショックは、リーマンショックのような一過性の経済不況ではなく、不況とは質的に異なる根本的な社会の構造変化をもたらすものと思われます。昨年11月12日に開催した当社主催の企業ユーザー向けのオンライン・シンポジウム「BBTower Business Exchange Meeting 2020 ONLINE」(URL:https://youtube.com/playlist?list=PLrXxIsP7iZ9kCxfUUklWDVtgQKkaVRkr4)にて私から「ポストコロナ社会におけるデジタルイノベーション」というタイトルで講演させていただきました(下図参照)。本図に示すように、コロナは、リアルワールドでの感染リスク回避のためにデジタル変革(DX)を加速しつつあります。社会のデジタル化は、金融革命、経済の地域分散、中小企業DXをもたらすと考えております。
これからの20年が始まる2021年を迎えてのキーワードは、『DataセンターからDXセンターへの進化』だと考えております。当社の企業ユーザーは、これまで、基本的に情報システム部門が強力な大企業中心でした。しかしながら、これまで情報システム部門を持たなかった中小企業がデジタル変革に取り組むようになる時代が始まろうとしております。このような、新たな企業ユーザー・ニーズに応えるために、「明日の仕事」として、当社ならではのDXセンター・サービスを準備していきたいと考えております。
最後に「明後日の仕事」について、述べてみたいと思います。「明後日」とは、ここでは、「未来」という意味で使っています。「未来を先導する企業」であるためには、日本の国際競争力を考えたオールジャパン・プロジェクトにおける先導的役割を果たすことが求められると考えております。そこで、私が、選任され昨年1月末に始動した総務省のBeyond5G推進戦略懇談会での議論が、出発点となっています。これは、5Gの継承として2030年にサービスインする予定の6G(第6世代モバイル通信システム)に関する国家戦略を議論するもので、懇談会メンバーが発起人となり、昨年12月18日にBeyond5G推進コンソーシアムが発足し、5Gでの遅れを6Gでは取り戻すべく、オールジャパンの体制が出来ました(以下写真参照)。当社もその中心的役割を担いたいと考えております。2030年には、データセンタービジネスというよりもDXセンタービジネスとしてBeyond5G時代を先導する企業へと成長したいと考えております。
以上に述べたように、「今日」「明日」「明後日」についての展望を述べることで、2021年の抱負とさせて頂きます。
2021年1月27日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋