Quantcast
Channel: 藤原洋のコラム
Viewing all articles
Browse latest Browse all 103

BRP(ビジネスレジリエンスDXプラットフォーム構築戦略会議)が始動

$
0
0

~災害起点の平常時サプライチェーン強靭化を目指して~

 

 今月の話題は、私が座長を仰せつかっているBRP(ビジネスレジリエンスDXプラットフォーム構築戦略会議)の活動についてお話させて頂きます。

 同戦略会議は、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会の中に設けられた産学官連携による新たなプラットフォームの構築を目指しております。

 関係する政令や法整備の準備のために去る4月5日には、首相官邸へ緊急提言を持って行ってきました。そして、和泉洋人内閣総理大臣補佐官を訪ねてレジリエンスジャパン推進協議会の中に設置されたBRP構築戦略会議座長として緊急提言を和泉補佐官と菅総理宛てに提出してきました。

 

 

 同プラットフォームは、「災害大国ニッポン」に適合したDX(デジタルトランスフォーメーション)の仕組みを早急に作り、災害が起こるたびに寸断されるサプライチェーン(供給網)の強靭化(レジリエンス)のための完全分散型DXネットワークを標準化・構築するものです。首相官邸を訪問した大きな理由は、業界横断・省庁横断のために首相官邸からのトップダウンアプローチを取ることとなったためです。以下に同活動による最初の成果としての提言概要と提言の背景と目的について説明させて頂きます。

 

●提言の概要

 後述のとおり、これまでDX構築を目指すデジタル・ガバメントの仕組みは議論されてきましたが、地場・中小企業等の強靱化に資するDX化については言及されていませんでした。こうした背景を踏まえて、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会では、「『ビジネスレジリエンス』DXプラットフォーム構築戦略会議」(座長:藤原洋インターネット協会理事長)を本年2月に設立し議論を行ってきましたが、政府のDX政策が進行する中で、平時のみではなく有事の視点も加えて、中小企業等とそのサプライチェーンの持続可能性と強靱性に資すること、さらには、平時にも効率化だけではなく地場産業や地域を超えた産業クラスターの活性化などにも資すること、といった新たな、かつ不可欠な要素を盛り込んだ、政府及び官民連携のDX戦略の構築と確立を目指し、以下の提言を行ったものです。

 

 

 

 

●戦略会議のメンバー

 また、この提言書をまとめ、実行に移すために、私から、副座長として、青木孝文氏(東北大学副学長)、大竹尚登氏(東京工業大学前副学長、科学技術創成研究院教授)、西岡靖之氏(Industrial Value Chain Initiative 理事長、法政大学デザイン工学部教授)の3名の方に、また、顧問として、竹中平蔵氏(東洋大学教授、日本経済再生本部産業競争力会議 民間議員、国家戦略特別区域諮問会議 有識者議員)、村井純氏(慶應義塾大学教授、JPNIC理事、内閣官房参与〔デジタル政策担当〕)に直接お願いしました。

 実行部隊としては、以下に示す各分野の専門家の皆さんにお願いすることとしました。

 

 

●提言の背景と目的

大災害時、パンデミック時にも、自助・共助・公助により、地場・中小企業等及びそのサプライチェーンの強靱性を確保できるようにするために必要なプラットフォームとは?という視点で提言書をまとめることとしました。

新型コロナウイルス感染症拡大は、多くの地場・中小企業等に大きな打撃をもたらしました。また、災害大国日本において、頻発する大災害に対してもこれまで、多くの地場・中小企業等がその影響から立ち直るのが困難な状況まで追い込まれているとされています。

 こうした状況において、政府としては、給付金等の様々な支援やBCPの推進など中小企業強靱化へ向けた政策を推進してきましたが、それに加えて自助、共助によってもより一層の地場・中小企業等の強靱化を図るべきという視点で、昨年一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会において「地場・中小企業等における感染症等災害リスクファイナンス戦略会議」(座長:佐藤主光一橋大学教授)を設立し、11月には、感染症等大災害時にすみやかに地場・中小企業等が資金を確保できる新たなクライシスファイナンス共済の仕組みと、それを支える、中小企業のリスクファイナンスデータのプラットフォーム構築の重要性の提言を行ってきました。【参考資料1】

 

 

 一方で、政府の最重要施策の一つとして、昨年12月に「デジタル・ガバメント実行計画」「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」が閣議決定されるなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が実施されてきています。しかしながら、地場・中小企業等の経営支援に資するDX政策も推進されてはきていますが、これらのほとんどは、平時の利便性や効率性を起点としたもので、大災害やパンデミックなどの有事を起点とした地場・中小企業等の強靱化に資するという視点が充分ではないのも現状であります。加えて、地場・中小企業等の自助、共助に資するDXプラットフォームという視点もまだ充分に検討されていないのも実情であります。

 また、政府の国土強靱化施策として、昨年12月に「防災・減災、国土強強靱化のための5か年加速化対策」が閣議決定され、その3つの柱の一つにDXが位置づけられていますが、その中には、地場・中小企業等の強靱化に資するDX化については言及されていないのが実情です。

 そこで、こうした背景を踏まえて、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会では、「『ビジネスレジリエンス』DXプラットフォーム構築戦略会議」を本年2月に設立し、私が、座長を務め、参考資料2に示すイメージ図をもとに議論を行ってきたのでした。

 

 

●一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会について

 一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会は、 国土強靭化担当大臣私的諮問機関「ナショナル・レジリエンス懇談会」の結果を踏まえ、 「国土強靭化基本計画」が円滑に達成されるよう、産、学、官、民のオールジャパンでその叡智を結集し 、非常時のみならず平時での戦略的活用の方策を創造することにより、公共投資、民間投資が最大限に相乗効果を発揮し、 レジリエンス立国を構築していくことを目的として設立されました。国民の生命と財産を守り抜き、さらには日本の産業競争力を高め、事前防災・減災の考えに基づき 「強くてしなやかな国」をつくるための「国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)」に関する総合的な施策づくりや、その推進に寄与するとともに、できるだけ多くの国民の方に向け、国土強靭化の理解を促進し、行動を誘発していくことをミッションとしています。

 

 

 

●おわりに

 本戦略会議は、国家課題としてのDX(デジタル変革、Digital Transformation)があること、また、当社も「DataセンターカンパニーからDXセンターカンパニー」へのビジネスモデル転換を図っていることもあり、社会課題解決と共に、当社にとっても大きなビジネスチャンスであると捉えております。

 

2021年5月26日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋


Viewing all articles
Browse latest Browse all 103

Trending Articles