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PR: 合法といって売られる薬物の怖さをご存じ?-政府広報

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実は麻薬や覚醒剤以上に危険なことを、あの福本伸行氏のマンガなどでご説明します。

『次世代データセンターのあり方 ~データセンター発展の方向性~』シンポジウムに参加して

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 3月18日に、私が座長を務めている、総務省「データセンターの地域分散化に関する調査研究」発表セミナーが開催されました。

 本シンポジウムは、総務省調査研究会事務局を務める富士通総研の主催で行われたもので、ICT業界の有識者、データセンター事業の経営者や実務トップ層を登壇者に迎え、私がモデレータを務め、次世代データセンターのあり方やその立地の考え方、地域分散化の方向性等に関してのパネルディスカッションを行いました。以下にそのプログラムを示します。

●14時~14時10分  開会挨拶
株式会社ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長CEO、一般財団法人日本インターネット協会副理事長 藤原 洋
●13時10分~13時40分 基調講演
「グローバル視点からの次世代データセンターの展望」
慶應義塾大学環境情報学部長 兼 環境情報学部 教授 村井 純氏
●14時40分~15時00分
総務省「データセンターの地域分散化に関する調査研究」概要報告
株式会社富士通総研 第二コンサルティング本部 環境事業部 シニアコンサルタント 伊藤 裕万氏
●15時10分~17時00分 パネルディスカッション
「次世代データセンターのあり方 ~データセンター発展の方向性~」
■モデレーター:藤原 洋
■パネリスト(敬称略)
村井純氏(慶應義塾大学)、田中邦裕氏(さくらインターネット株式会社代表取締役社長)、大宮恭氏(東北インテリジェント通信株式会社理事 営業本部経営企画部部長)、高橋俊之氏(株式会社ブロードバンドタワー取締役 エンジニアリング統括・エネルギー事業担当)

 今回のセミナーには、多くの情報通信業界およびデーター通信業界の主要企業の方々が参加され、多くの方々から、業界の相互交流と政府への政策提言へ向けての大変有意義な機会だったという感想を頂きました。以下に当日での議論の概要を示します。

 私は、開会挨拶で構成員を務めている、総務省の東京オリンピック/パラリンピックへ向けてのICT(情報通信技術)による新事業創出推進会議での議論を踏まえ次世代データセンターは、モバイル(M2M)、ビッグデータ、クラウド、ソーシャルメディア、4K8Kの5つを重点5分野として発展し、特に外国人観光客来訪に適したICT環境の整備が重要だと述べました。

 村井純氏は、「インターネット前提社会」という視点で、20世紀後半のインターネットの商用化以来の利用方法や国際的なトラフィックパターンの変化などを示され、これらの変化に応じてデータセンターの役割も大きく変化しているとの認識を示されました。田中邦裕氏は、冷却コストと土地コストの低廉な北海道石狩データセンターの成功例から、クラウド時代に対応した地域データセンターのメリットを強調されました。大宮恭氏は、東北電力グループ企業の利点を活かした、東北地方における通信サービスとデータセンターサービスとの連携効果についてお話しされました。高橋俊之氏は、これまでの大手ポータルサイトへのコロケーションサービスと最近急増中のクラウドサービスの運用経験を踏まえ、ファシリティ、ネットワーク、アプリケーション技術の融合こそ次世代データセンターへの道だとの考えを示しました。

 以上のように、「次世代データセンター」は、村井純教授が指摘したように、社会が「インターネット前提社会」へと発展する中で、さらなる急速な技術革新を背景に、都心・地域間連携による情報発信・交換拠点としてその姿が見えつつあるように思われます。当社としましても、インターネット業界・データセンター業界の発展に貢献すると共に、同業界における「次世代データセンター」のリーディングカンパニーを目指して尽力させて頂きたいと存じます。


平成26年3月24日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

IoT時代の技術トレンドと当社の企業戦略

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 当社はインターネット・テクノロジーを先導する企業として、インターネット技術の発展と共に成長してきました。振り返ると、1997年の日本初の商用IX(インターネット・エクスチェンジ)である、JPIX(日本インターネットエクスチェンジ株式会社)の創設に関わった技術部門をIRI(株式会社インターネット総合研究所)から継承し、2000年に米国企業との合弁で、日本初の専業インターネット・データセンター事業者として創業しました。2002年には、ブロードバンド時代に対応した新たな情報発信拠点として株式会社ブロードバンドタワーに商号変更の上で再出発し、各種ポータル、Eコマース、ネット広告、ネット証券等のサービス事業者のサーバ運用環境の提供を中心に事業展開を行ってきました。当社にとってのこれまでの約15年は「人をつなぐ」インターネット・サービス提供の歴史であったといえます。
 しかしながら、ここへ来てインターネットは「モノをつなぐ」インターネット、すなわちIoT(Internet of Things)へと変化する時代を迎えたといえます。2015年は、正に当社にとっては、IoT元年と位置付けられると思います。
 それでは、ここで、IoT時代へ至る技術の発展の歴史を概観してみたいと思います。

 IoTの技術的起源をあげるなら、坂村健氏(1951年生まれ、東京大学大学院情報学環教授)による、TRONプロジェクト(TRON: The Real-time Operating system Nucleus )であると言えます。何故なら、TRONはリアルタイムOS仕様の策定を中心としたコンピュータ・アーキテクチャ構築プロジェクトで、プロジェクトの目指す最終的到着点のグランドイメージとして「どこでもコンピュータ」すなわちHFDS(Highly Functionally Distributed System、超機能分散システム)を掲げ、1984年6月に始動したからです。以来、実際に超分散型の組込み型OSとして普及し、機器間通信ネットワークの技術基盤を約30年間にわたって形成してきたと言えます。そして今年から始まるIoT時代こそが、TRONで準備された日本発の世界的な技術基盤が花開く時代であると言えます。

 IoT時代の次なる先駆者としては、「ユビキタス・コンピューティング」という概念を提唱したゼロックス パロアルト研究所のマーク・ワイザー(Mark Weiser 、1952年~99年)をあげることができます。同概念は1988年に提唱されたもので、これらは元来「あらゆる所にコンピュータが存在する」という考え方です。この概念を日本でインターネット時代に対応させたのが、野村総合研究所(当時)の村上輝康氏で、総務省が2000年代に提唱した「あらゆる場所であらゆるモノがネットワークにつながる=ユビキタス・ネットワーク」へと発展したのでした。

 実際にIoTという言葉を初めて世に出したのは、ケビン・アシュトン(Kevin Ashton 、1968年英バーミンガム生まれ)です。同氏はマサチューセッツ工科大学のRFIDの研究コンソーシアムである「Auto-IDセンター」の共同創始者で、RFIDや他のセンサー向け標準化作業に尽力し、また、RFID関連企業のThingMagic社、電力監視ソフトウェアのEnerNOC (NASDAQ:ENOC)社を経て、環境関連技術企業のZensi社(Belkin社が買収)を設立した人で、インターネットによるセンサーネットワークを「Internet of Things」と1999年に命名しました。同氏は、P&G社の副ブランド・マネージャーとしてサプライチェーンの管理用にRFIDを使うことに興味を持ち、1997年にMITにコンタクトし、1999年にはサンジェイ・サルマ(Sanjay Sarma)教授らと共同で「Auto-IDセンター」と呼ばれるRFID研究コンソーシアムを始動させました。同プロジェクトは大きな成功を収め、「Auto-ID Labs」へ名称変更し、研究が継続されています。
 
 以上のような歴史的経緯をたどる中で、世界は1990年代のインターネットの商用化、1990年代後半からのモバイル通信インフラの整備とが相まって、ブロードバンドからモバイル・インターネット・インフラの時代へと発展しました。

 インターネットの出現は歴史的な転換点となり、世界をいきなりグローバルな情報空間へと導きました。「Before Internetの時代」は「先進国の成長」の時代であり、「日本が先進国の仲間入り」をした時代であったと言えますが、「After Internetの時代」は、「先進国の成熟」+「新興国の成長」の時代であり、「グローバル空間での資源・エネルギー管理の時代」であると言えます。
 この新たな時代は、移民政策をとらない日本をはじめ、世界の先進国の人口が急激に減少する時代でもあります。特に日本では、1900年の4,300万人から百年で3倍近くに急増した人口が、2006年の1億2,774万人をピークに、今後百年で3分の1に急減するものと考えられています。この新たな時代は、『1人当たりの労働』の質の向上を高めるために多種多様の機器が人に代わって考え働く時代であるとも換言できます。

 IoT時代とは、「あらゆるモノをワイヤレス・インターネットによって相互接続」し、量から質への転化をもたらす時代であると言えます。これを実現するには、半導体、記憶装置、通信帯域の指数関数的な発展傾向を見据えると共に、日本の強みである、TRONの技術基盤の活用、モバイル・ネットワークの活用、安定性の高いデータセンター/クラウド運用技術の活用によって、欧米・アジア等との協調の中で、世界をリードするオープンイノベーションを起こしていく必要があると思われます。
 このような状況の中で、当社は日本の果たすべき役割を中心的に担っていく企業であることを自覚し、IoT時代を担う中核的企業として成長していきたいと考えております。

平成27年2月25日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

IoT時代を共創する米エブリセンス社との資本業務提携が目指すもの

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 IoT(Internet of Things)元年ともいえる2015年の春に、シリコンバレー・ベンチャーの米エブリセンス社との共同事業開始のアナウンスができたことを大変嬉しく思います。同社CEOの真野浩博士は、日本人で、無線LAN技術の専門家で、IoT技術としてより重要となるWiFiなど無線LANの技術基準を決めるIEEE(米電気電子技術者協会)802.11でタスクグループ議長を務められており、世界のIoT技術リーダーでもあります。
 このたび、当社が同社との資本業務提携によって目指すものについて簡単に述べてみたいと思います。同社は、その社名“EverySense”の通り、あらゆるセンサーやスマホからの情報を集め、データを持つ企業と、データを活用する企業とのマッチングサービスを行う研究開発型サービス企業です。当社は、エブリセンス社と共同で、この仕組みを開発し、今夏にも当社データセンター内にあるクラウド上に実現する計画です。同社から提供されるサービスは、「インフォメーション・ハーベスティング」と呼び、店舗、工場、農場、家庭、オフィス、街路等、無数のセンサーが、インターネットによって接続されます。これらのセンサー情報を当社のデータセンター内のクラウド上に集め、これらを利用したい企業群に対して、データ分析の仕組み等と共に提供します。データ提供側とデータ利用側でやり取りするデータフォーマットは、サーバーに登録され、同サーバーにてデータ変換が実行されます。
 収集データとこれに基づくサービス情報については、センサー等、各種の機器情報や個人情報の管理のためには、最高品質のセキュリティ技術が導入されています。
 このようなエブリセンス社との資本業務提携により、当社は、IoT市場への本格参入を行い、当社のデータセンターサービス、クラウドサービス、ストレージソリューションを利用している多数の既存顧客に加えて、新規企業顧客、官公庁顧客に向けて、エブリセンス社の「インフォメーション・ハーベスティング」サービスの市場拡大を共同で行っていく計画でおります。

平成27年3月16日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

UC San Diegoと共同でのIoTオープンイノベーション拠点創設の意義について

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UC San Diegoと共同でのIoTオープンイノベーション拠点創設の意義について
~第3のインターネット革命を担う革新的技術に基づく継続的発展を追求するために~


 IoT(Internet of Things)元年ともいえる2015年、私は、4月に、UC San Diego(カリフォルニア大学サンディエゴ校)の各部門との今後の計画の擦り合わせ、および同地域の地元有力企業である、無線通信技術で世界をリードするクアルコム社、遺伝子解析装置で世界をリードするイルミナ社、およびサンディエゴ周辺を供給エリアとする電力・ガス会社とロサンゼルスなどを供給エリアとするガス会社を傘下に持つセンプラ・エナジー社を表敬訪問してきました。

 サンディエゴ地域は、MIT(マサチューセッツ工科大学)准教授から1966年にUC San Diego教授に就任したアーウィン・ジェイコブス博士がこの地に移られてから大きな発展が始まったのでした。博士は、1985年にクアルコム社を共同設立し、デジタル無線技術の革新的技術であるCDMA(Code Division Multiple Access)方式の実用化に成功し、一気に移動通信における世界市場を席巻したのでした。サンディエゴ地域は、クアルコム社や同社からスピンアウトした企業をはじめ、多くのUC San Diegoから生まれた企業が所在しており、IoT技術の中心を担う無線通信技術とライフサイエンスに特化したベンチャー企業が集積しています。

 私自身は、2015年5月にUC San DiegoのGPS(School of Global Policy and Strategy、国際政策戦略大学院)のEmPac Fellow(特別研究員)として招聘されており、併せて同地域の産学連携活動を行う予定です。

 IoT(Internet of Things:モノのインターネット)は、これまでのインターネット革命を牽引してきた利用者に情報提供を行うポータル(Yahoo!、Google等)、利用者がコンテンツ制作に参加するソーシャルメディア(Facebook、Twitter等)に続く、第3のインターネット革命を担う革新的技術です。そして、IoTの本質は、これまでの人口を上限としていたヒトのインターネットをはるかに超える数百億に及ぶモノのインターネット接続環境を実現するところにあります。

 本格化するIoT時代を迎え、当社では、社内組織として「グローバル IoT事業推進本部」を新設いたしました。また、UC San Diegoと共同で現地の先進的な技術を持つ企業との共同開発や有望なベンチャー企業を発掘するためにサンディエゴ市にIoTオープンイノベーション拠点を創設する予定です。また、当社は、同組織を中心に2020年までに総額で1,200万ドルを投資することを計画しており、サンディエゴ地域の有望なベンチャー企業の発掘、投資、および学術研究機関、IoT関連企業との共同開発および共同事業を展開する予定です。

 このような国際産学連携に基づくオープンイノベーションによる成果を、当社の既存サービスである、インターネット・データセンター事業、クラウドサービス事業、およびストレージソリューション事業と連携させ、順次市場投入を行うことで、次なる事業の柱となるIoTサービスの基盤を構築すると共に、グローバルなIoT事業の拡大を図ってまいります。

平成27年4月22日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

UC San Diego学長のプラディープ・コースラ博士と(UC San Diegoにて)


クアルコム創業者アーウィン・ジェイコブス博士と

クアルコム創業者アーウィン・ジェイコブス博士と(UC San Diegoにて)


クアルコム本社入口に並べられた膨大な特許の数々

クアルコム本社入口に並べられた膨大な特許の数々

 

 
  

UC San Diego/GPSフェローシップ滞在を終えて ~知の集積による都市形成を体感~

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 私は、UC San Diego(カリフォルニア大学サンディエゴ校)からの招聘で、日米の産学連携をミッションとして、去る5月10日に到着してから27日に帰国の途に就くまで、あっという間の充実したサンディエゴ滞在になりました。同大学大学院研究科名がIR(International Relations)/ PS(Pacific Studies)からGPS(Global Policy & Strategy)へ改称した直後の滞在ということもあり、さらなる発展を指向する時期に重なった充実感がありました。以下に示すように、私が密度の濃い時間を過ごすことができたのは、同大学学長のプラディープ・コースラ博士、GPS研究科長のピーター・カウィー博士、看板教授のウリケ・シェーデ博士をはじめとするGPSスタッフの献身的な努力の賜物であり、感謝の意と敬意を表させて頂きます。
 
 パブリック・イベントにおける私の役割は、5月18日夜に開催されたEvening of Art & Scienceにおける基調講演“San Diego-Japan Innovation: Common Avenues in IoT and Biotech”と、19日終日に行われた5つのパネルディスカッション(共通テーマ:“New Approaches for the Promotion of Innovation”)の中の“The Internet of Things as the Next Big Thing”パネルへの登壇の2つでした。
 
 5月18日の基調講演は、日本を代表してフェローで招聘された立場上、つまらない講演はできないと思い、何故サンディエゴなのか?我々はどういう時代にいるのか?何故IoTなのか?についての自分なりの主張をいたしました。その後、受講された方々から、サンディエゴ~日本連携に具体的に関わりたいという声を多く聞くことができ、安堵しております。
 
 5月19日のパネルディスカッションでは、現在私が最も注力しているIoTの技術とビジネスにおける取り組み、さらには、サンディエゴ地域の有力企業やベンチャー企業との連携についてお話しさせて頂きました。ディスカッションでは、IoT化に伴う、ビジネスチャンスの拡大と個人情報保護やセキュリティに関する政策の重要性が議論されました。IoTには、技術、ビジネス、政策の様々な挑戦課題があり、今後もホットなテーマであり続けるという共通認識が深まったという印象でした。また、他の4つのパネルにおいては、大学の在り方、バイオビジネス、政策等について深い議論がなされました。特に参加した登壇者の顔ぶれは、小宮山宏氏(株式会社三菱総合研究所 理事長、元東京大学総長)、末松誠氏(国立研究開発法人日本医療研究開発機構 理事長、前慶應義塾大学医学部長)、白川方明氏(前日銀総裁)をはじめ非常に贅沢で、日本とサンディエゴの登壇者の発言にアピール性があり、非常に熱気を帯びた一日となりました。
 
 イベント以外の活動では、GPSでは私の発表に基づく学生との討論会に加えて、UC San Diegoのエンジニアリングスクール、ビジネススクール、メディカルスクールをはじめ、ライフサイエンス関連研究所のスクリプス、ラホヤインスティチュート、サンフォード・バーナム、J.クレイグベンターの世界的研究者や、地元有力企業のクアルコム社、イルミナ社等世界をリードする企業関係者との個別面談の場をGPSを中心に設定して頂き、非常に密度の濃い講義を行い、また将来につながる議論を行うことができました。
 
 私が本フェローシップの滞在を通じて体感したことは、UC San Diegoの創立とクアルコム社を中心とした大学発企業が主導するワイヤレス産業の創出と、スクリプス研究所の創立とその後のライフサイエンス産業の創出が、サンディエゴという都市の発展につながっているということです。この「知の集積による都市形成」のサンディエゴ・モデルの中に、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)によって新たな産業創出に向けて日本社会の目指すべき方向性があると確信した貴重なフェローシップ滞在期間でした。

*UCSDにおけるBBTowerの活動がUCSDのサイトに総括されていますので以下のURLをご覧頂ければ幸いです。
http://empac.ucsd.edu/
http://empac.ucsd.edu/media-center/stories.html

平成27年5月29日
株式会社ブロードバンドタワー
代表取締役会長兼社長CEO 藤原 洋

 

 

 

 

 
  
  

 

 

 

 
 

 



 

インターネット協会「IoT推進委員会」と「日墺交流委員会」への参加を

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 この度一般財団法人インターネット協会の理事長を拝命し、6月24日から就任させて頂くこととなりました。

 一般財団法人インターネット協会(IAjapan)は、経済産業省と総務省の共管により平成13年(2001年)に設立され、インターネットの発展を推進することにより、高度情報化社会の形成を図り、我が国の経済社会の発展と国民生活の向上に資することを目的としてさまざまな活動を続けている業界団体です。
 インターネット協会は、2001年の設立以来、富士通株式会社、日本電気株式会社、株式会社日立製作所の経営トップの方々が同協会の理事長を務められた由緒正しい財団です。前身の日本インターネット協会から、副理事長を務めさせて頂き、特にインターネット関連技術の向上には微力ながら尽力してまいりました。
 このたび理事長に就任させていただくことは、大変光栄なことであります。

 また、私の提案にて、本年4月から、インターネット協会内に「IoT推進委員会」と「日墺交流委員会」が設置されました。
 「IoT推進委員会」は、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)時代を見据えて、会員企業の相互交流を図ることでIoTビジネスを具体的に創生し、次世代のインターネットの発展を推進することを目指すため、「日墺交流委員会」は、先進的な電子政府化の取り組みで世界中から注目を集める会員企業のとっての成長著しい東欧市場を具体的に開拓するために、ゲートウェイとしてのIT先進国のオーストリアと、電子政府・オープンデータ・ビッグデータへの取り組みについて、パートナーシップの取り組みを行うものです。

 去る6月10日~12日で開催されました「INTEROP TOKYO 2015」では、私がモデレーターとなり「IoT推進委員会」と「日墺交流委員会」の設立記念セッションを行いました。
 「IoT推進委員会」のセッションでは、同委員会に最高顧問として就任いただいた東京大学大学院 情報学環教授の坂村健氏、副委員長に就任いただいたシスコシステムズ合同会社 専務執行役員 最高技術責任者(CTO)の木下剛氏と、「日墺交流委員会」のセッションではオーストリア共和国連邦首相府から電子政府推進本部のクリスチャン ルップ氏をお招きして、それぞれの将来展望について、深く議論をさせていただき、多くの方々にご聴講をいただきました。

 今後ますます発展するIoTを前提とする社会と、電子政府化、オープンデータ・ビッグデータの活用がもたらす「アフターインターネット」の時代を、業界を挙げて先導すべく、インターネット協会の活動に取り組ませていただく所存です。

 なお、私のインターネット協会理事長就任に伴い、両委員会活動の委員長を私が務めることに際して、新会員(企業賛助会員)を新たに募集し、IoT産業の創生と日本のIoT企業群にとっての新たな海外市場の創出を行っていきたいと考えております。

 この機会に是非ご賛同いただき、更なるインターネットの発展へ、ご一緒に参画いただけましたら幸いです。

平成27年6月24日
株式会社ブロードバンドタワー
代表取締役会長兼社長CEO 藤原 洋

■協会連絡先:
  一般財団法人インターネット協会
  〒105-0003 東京都港区西新橋3-13-3 西新橋ビルディング 5F
  連絡フォーム : http://www.iajapan.org/contact/sec.html
  FAX: 03-6435-6695

沖縄での「一般社団法人重要生活機器連携セキュリティ協議会」連絡会に参加して

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~沖縄振興交付金として決定!
  沖縄に消費者向けIoTデバイスのセキュリティテストベッドが始動!~

 当社のWebサイトのプレスリリースにおいて、去る7月8日付でアナウンスさせて頂きました記者会見は、7月10日の台風9号の影響で中止となりましたが、当社は、一般社団法人重要生活機器連携セキュリティ協議会(CCDS:Connected Consumer Device Security Council、https://www.ccds.or.jp/)における「組込み脆弱性評価検証基盤システム」の構築の開発・検証チームの幹事会社を担当することになり、沖縄での関係者連絡会議に参加してきました。沖縄振興交付金に基づきCCDSから受託した事業を行うに際して、首都圏と沖縄県地元企業連携による新産業創出を行うべく、当社は、地元企業と共同開発、共同運用を行う予定です。

 CCDSは、日常生活で利用する機器(生活機器、IoTデバイス)の中で予期せぬ動作が発生すると利用者の身体や生命および財産に影響を及ぼす可能性があるものをネットワーク接続したり他の機器と連携させたりしても安全・安心に利用できる環境を実現するため、IoT機器のセキュリティ技術に関する調査研究、ガイドラインの策定や標準化の検討、及び普及啓発を行い、我が国のものづくり産業の発展と新規事業創造、そして国民生活の向上に寄与することを目的としています。

 このたびの沖縄振興交付金に基づくCCDSによる脆弱性評価検証基盤構築事業は、以下の4つの系に分けて実施されることとなりました。


1. 自動車系:
・車載機器向けセキュリティ評価・検証ツールの開発
・ボディ系ECUの脆弱性評価と評価ツール開発

2. ホーム系:
・ホームゲートウェイ向けセキュリティ検証基盤の構築

3. 金融系:
・ATMセキュリティ評価検証プロセスの開発
・決済端末における脆弱性評価基盤の構築

4. 統合システム:
・組込み脆弱性評価・検証基盤システムの構築


 以上の4つの系の中で当社は、第4の統合システムの構築に関して、図1に示すように、「組込み脆弱性評価・検証基盤のシステム」の開発・検証業務をCCDSから受託することとなりました。

 

図1.CCDSが実施する脆弱性検証基盤構築事業の作業分担

 当社が担当する「組込み脆弱性評価・検証基盤システム」の構築概要は、以下のような背景と課題をふまえた実施内容と機能となるもので、図2にその位置づけを示します。

1.背景:
組込み機器(IoTデバイス)が相互に連携したサービスが増加しており、
多様なシステム内に、想定を超えた脆弱性が潜む危険が予見されること。

2.課題:
1) 組込み(IoT)分野のインシデント情報データベースがないこと。
2) 各分野における脆弱性検証結果が統一されていないこと。

3.実施内容:
組込み脆弱性評価・検証基盤システムの構築
1) 脆弱性検証業務の標準化
2) 過去データの利活用

4.主な機能:
1) 評価・検証用サービスサイトの環境提供
2) 標準的な検証ツール、分野別評価・検証ツールが組込み
3) 評価・検証データの収集、蓄積
4) 共通評価・検証結果レポートの作成、蓄積、出力(配信)

 


図2.組込み脆弱性評価・検証基盤システムの位置づけ

 当社は、今回のCCDSからの受託事業を契機として、「組込み脆弱性評価・検証基盤システム」に基づく高信頼度のIoTサービスを展開していきたいと考えております。


平成27年7月16日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋


2つのAIを融合させた『AI²プロジェクト』の始動について

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~「AI²ビジネス」と「AI²研究」の連携による新時代を拓くために~

  今、2つのAIすなわち“After Internet”と“Artificial Intelligence”との融合という新たな時代を迎えました。

  当社は2000年の創業以来、日本初の専業型データセンター事業者として、EMC²アイシロンをコアとしたストレージソリューション・プロバイダーとして、また、日本初のBSI(英国規格協会)/米CSA(クラウドセキュリティアライアンス)によるクラウドセキュリティ規格STAR認証を取得したc9クラウドサービスの提供事業者として、15年間にわたって、ヤフー株式会社をはじめとする先進的なインターネット企業の皆様の事業をご支援してまいりました。しかし、インターネットの登場から約30年が経過した今日、常に最先端のインターネット・テクノロジーを提供させていただいてきた当社の果たす役割が転換点を迎えたと考えております。

  その背景には、今日、インターネットとコンピュータのテクノロジーが2つの大きな転換点を迎えたことがあります。一つ目は、人々を対象にしたポータルサービスやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に加えてIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の登場であり、二つ目には、ムーアの法則(半導体の集積度向上によるコンピュータ性能、ネットワーク性能の指数関数的な発展)の継続により可能となった、AI(Artificial Intelligence)の計算機能の飛躍的向上によることです。ジョン・マッカーシー博士(LISP言語の開発者、カリフォルニア工科大学、プリンストン大学、MIT、スタンフォード大学で研究)が、1956年 ダートマス大学のキャンパスで開催された会議で初めてAIの重要性を提唱してから60年近くが経過する中では、AIは一時期冬の時代を過ごしたこともありました。しかしながら、1997年にチェスの世界チャンピオンにコンピュータが勝利したことと、世界中のコンピュータがインターネットによって相互接続されたことで状況は一変しました。これからのAIは、インターネット登場後(別のAI=After Internet)のAIとして生まれ変わろうとしています。

  当社は、このような背景から、これからの新たなインターネット・ビジネスを創造するために、これまで蓄積してきた最先端のインターネット・テクノロジーと、コンピュータ・サイエンスの最先端技術とを組み合わせた『AI²プロジェクト』を始動させることと致しました。

  別のAIとして定義した「アフター・インターネット時代」とは、ポータル、SNSに加えて、センサーやデバイスを直接インターネットに接続するIoT時代の到来を意味しています。このIoT時代にいち早く対応するために、私が去る6月24日に理事長に就任しました一般財団法人インターネット協会内にIoT推進委員会を設置し、業界をあげて、IoTビジネス、IoT技術、IoTデバイスプラットフォームの環境整備に注力させて頂いております。また、当社としてもIoTのコア技術と目されるワイヤレス技術とライフサイエンス技術の最先端研究拠点であるカリフォルニア州サンディエゴにオープンイノベーション研究拠点を開設致しました。

  このようなIoTビジネスとIoTテクノロジーに関する活動に加えて、今回始動した『AI²プロジェクト』には、当社の2つの新たな活動が集約されています。第1に最先端の人工知能とインターネット技術を組み合わせて事業化する「AI²ビジネスユニット」(代表:石田正樹氏)と、第2に最先端の人工知能研究をサーベイする「AI²オープンイノベーション研究所」(代表:松田卓也氏)であります。

  「AI²ビジネスユニット」では、最新の実用化可能な音声認識、自然言語処理、画像データの機械学習等を用いてIoT時代に適合すると共に、蓄積された知識ベース(Knowledge Base)を基に「AI²サービスプラットホーム」を確立し、具体的な事業展開を行います。このため、同ユニットの代表に、言語認識エンジンの事業化に携わり、人工知能(AI)の分野での見識の高い石田正樹氏(元富士ソフト株式会社取締役)をリーダーとして迎え、強力なビジネス/エンジニア集団を形成しました。

  「AI²オープンイノベーション研究所」は、国内外の大学・研究機関と連携した『シンギュラリティを語る会』に参画することで、最先端のコンピュータ・サイエンスに基づく人工知能技術を追求します。ここでは、既に実用化されている従来型の機械学習だけではなく、例えば、HTM(Hierarchical Temporal Memory)理論のような新皮質アルゴリズム的性質・構造を捉えることを目指した新理論等も視野に入れた研究活動との交流を通じて、次世代ビジネスのシーズ発掘を行っていきます。当研究所の代表(所長)には、当分野の学術権威者の松田卓也氏(神戸大学名誉教授、元京都大学助教授、NPO法人知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん副理事長、著書『2045年問題』等)を迎え、国内外のAI研究者、ロボティックス研究者との連携を図ることと致しました。

  以上に述べたように、このたび始動した『AI²プロジェクト』によって、常に最先端のインターネット・テクノロジーをインターネット業界はもとより、より多くの産業分野の皆様に提供させて頂くという当社のミッションを果たしていきたいと考えております。

平成27年8月19日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋




 




 

インターネット協会 IoT推進委員会 第1回シンポジウムを終えて

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~次なるビジネスチャンスを創出する業界活動を始動~

 去る9月4日に、私が理事長を務める一般財団法人インターネット協会において、私から提案をし、理事会にて承認されましたIoT推進委員会の第1回シンポジウムが開催されました。

 同シンポジウムは、インターネット協会の会員企業への活動方針の告知と新規入会企業の勧誘を兼ねて開催されたものです。来場者として当初100名を予定していたところ、170名以上ものお申し込みをいただいたため会場を変更したものの、ご参加率の高さから、結果として立見席の出る盛況ぶりだったことからも同委員会に対する期待の大きさを感じました。
 
  IoT推進委員会の活動目的は、インターネット業界を超えたあらゆる産業分野を巻き込んだ「IoT産業の創出」にあるため、最初に関係省庁の立場から、総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 データ通信課課長の吉田正彦氏、続いて経済産業省商務情報政策局 情報経済課課長の佐野究一郎氏に来賓のご挨拶を頂きました。吉田氏からは、IoTを基軸とした新たな情報通信産業の振興策を予算化と含めて立案する上で、同IoT委員会の活動から得られる知見を是非生かしたいとの期待が、また、佐野氏からは、同委員会活動に製造業など多くの産業分野からの会員が加わることで新たなIoTビジネスモデルの探求と確立が成されることへの期待が述べられました。

   IoT推進委員会の設置意義については、私から、過去20年間の経済を振り返り、GDPに関して日本が4.8兆ドルから4.6兆ドルへの微減に対して、米国は7.3兆ドルから17.4兆ドル(2.4倍増)となっており、明らかにインターネット利活用とグローバル展開において日本と米国で大きな差が生じている点を指摘させて頂きました。また、少子高齢化による人口減とイノベーションの停滞の関連についても指摘させて頂きました。それらの前提を基に、インターネットの多産業分野への展開を図り、人間に代わって、ヒトを超えて様々な機器をインターネット接続することによる新産業=IoT産業の創出が求められていることを述べさせて頂きました。また、委員会としてこれを具体的に推進するために以下の3つのWG(ワーキンググループ)を新たに設置し、各WGのリーダーシップの下で、活動を行うことを宣言させて頂きました。

(1) IoTビジネス検討ワーキンググループ
 (座長:佐々木 一人 氏〔インターネット総合研究所取    締役社会共創研究所長〕)

(2) IoT実証実験ワーキンググループ
 (座長:真野 浩 氏〔エブリセンス社CEO〕)

(3)IoTデバイス・プラットホーム検討ワーキンググループ
 (座長:小畑 至弘 氏〔BizMobile株式   会社CEO〕)

各座長からは、以上の活動計画の概要が紹介されました。

 また特別講演として、WiFiの根幹となる無線LAN標準規格IEEE802.11シリーズや、エネルギーネットワークのスマートグリッドに関する標準化等多くの標準化を手がけてきた、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers 、米国電気電子技術者協会)の標準化部門プレジデントのブルース・クリーマー氏から、IEEEが4年後に目指すIoT技術の標準化(規格番号: P2413)の展望についてお話しいただきました。私からは、クリーマー氏に対して、本標準化作業については、当社およびインターネット協会の会員企業が技術面で積極的な貢献を行いたい旨、あわせて標準化に則った事業展開についても積極的に行っていきたいという意思を伝えました。

 以上のように、インターネット協会でのIoT推進委員会の活動は、多くの方々と共に、産学官連携、特に国際連携に基づき、「日本におけるIoT産業の創出」という大目標に向けて始動いたしました。このことは、当社のIoT事業の展開においても大きな励みとなりました。

注)詳しくは、インターネット協会の次のURLをご参照下さい。
http://www.iajapan.org/iot/event/2015/symp0904.html

平成27年9月24日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

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パリ・オペラ座での「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー(企業家賞)」授賞式に友情登壇しました

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~当社提携先のScality社CEOジェローム・ルキャット氏がフランス国内の「スタートアップ・オブ・ザ・イヤー」(最優秀起業家賞)受賞!~

  私は、去る10月13日に、パリ・オペラ座で開催されたフランスの「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー (EY Entrepreneur Of The Year: 企業家賞)」記念イベントに招待され出席いたしました。そこで、当社の資本業務提携先であるScality(スキャリティ)社CEOのジェローム・ルキャット氏が、最優秀起業家賞(スタートアップ・オブ・ザ・イヤー)を受賞したため、「友情登壇」し祝賀スピーチを行いました。

  ルキャット氏は、起業家部門において180社から7社がノミネートされた後、最優秀起業家賞に選ばれたというアナウンスがあると当社の新動画配信サービス「アンカーパーソン.TV(アンパカ.TV)」のマスコットキャラクター「アンディー君」を伴って登壇されました。続いて、司会者から私の名前が呼ばれ、友人への祝賀スピーチということで、「ジェローム・ルキャット氏はフランスの起業家として表彰されたが、フランスに留まらない世界的起業家である。起業家のミッションは世界を変えることにあるが、彼はストレージの常識を覆し、従来のハードウェア・ベースだったストレージの世界をソフトウェアのストレージに変えた。私は同じ起業家として、共に世界を変える仲間であり、特に日本では、自動車産業や映像産業などで大量のストレージを利用しているが、益々その需要は高まっており、彼の新しいストレージ・テクノロジーは、正に世界を変えるだろう。」との話をさせて頂きました。

  約1,000人の参加者は、フランスの企業家、投資銀行、ベンチャーキャピタルの方々で、イベントは、全てフランス語で行われました。外国人は私だけのようでした。また唯一、私のスピーチだけが英語でしたが、メッセージは通じたらしく、授賞式後のレセプションでは多くの人々から祝福と名刺交換の希望があり、日本とフランスは先端技術分野で、もっと互いの強みを持ち寄って経済発展をするべきであるとお話しておきました。

  ところで、EY社(Ernst & Young: アーンスト・アンド・ヤング) は、ロンドンを本拠地とする世界規模(150ヶ国、700都市以上)の会計、税務、アドバイザリー・サービスなどのプロフェッショナル・サービス企業で、世界4大会計事務所(EY社、デロイト トウシュ トーマツ、KPMG、プライスウォーターハウスクーパース)の1つです。

  フランスの「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」には、6分野があり、次の企業が選出されました。分野ごとに数百社から7~8社をノミネートし、各部門の最優秀賞を表彰します。

1) Born global〔生粋のグローバル性〕(ノミネート7社)
受賞者:Hervé BURUNET氏とGilles CHETELAT氏(Sticky Ads.TV社Co-Founder)
表彰者:Gilles BABINET氏(Digital Champion社CEO

2) Stratégie Disruptive〔戦略的破壊性《イノベーション》〕 (ノミネート8社)
受賞者:Giorgio ANANIA氏(Atedia社CEO)
表彰者:Arnaud LE GAL氏(ジャーナリスト、仏経済紙「Les Echos」編集者)

3) Vison Stratégique〔ビジョンの戦略性〕(ノミネート7社)
受賞者:Guillaume RICHARD氏(O2社)
表彰者:Jacques VERLINGUE氏(Verlinque社プレジデント)

4) Entreprise Familiale〔企業の家族性〕
受賞者:Fellcle BURELLE氏とJean-Michael SZCZEBRA氏(Plastic Omnium社)
表彰者:Elizabeth DUCOTTET氏(Thausne社プレジデント、METI社共同代表

5) Start-up de l'Année〔今年の最優秀起業家〕(ノミネート7社)
受賞者:Jérôme LECAT氏(Scality社CEO)
表彰者:Nicolas DUFOURCQ氏(Bpifrance社CEO、投資ファンド)

6) Entrepreneur de l'Année〔今年の最優秀企業家〕(ノミネート7社)
受賞者:Gilles FALC’HUN氏(Sill Entreprises社CEO)
表彰者:Vincent TAUPIN氏(Edmond de Rothschild France代表、投資銀行)

  ジェローム・ルキャット氏が率いるスキャリティ社は、急成長中のSDS(Software Defined Storage:ソフトウェアにより定義されたストレージ〔記憶装置〕)開発企業で、独自技術によるソフトウェアが商品です。これは、数学に強いフランス生まれの数理科学的アルゴリズムにより、多数のサーバーをネットワーク経由で接続しあたかも1つの巨大な記憶装置を創り出す技術で、PB(ペタバイト)級以上の大容量ストレージを実現します。研究開発拠点をパリ、事業拠点を米サンフランシスコ(本社)とボストンに置くSDSのトップランナーです。

  当社は今後、本格的なIoT(Internet of Things: モノのインターネット)/動画配信時代に対応するために、情報通信産業に留まらず、製造業、運輸業、流通業、建設業、農業といったあらゆる産業分野で、相互接続とデータの相互運用性を実現する共通のオープンプラットフォームを、自らのサービスで実運用に供しながら提供してまいります。具体的には、IoT分野においては、IoTセンシングデータの収集サービスとデータ利活用サービスおよびデータ分析サービスがあり、また、動画配信分野においては、動画版ウィキペディアになると期待している「アンカーパーソン.TV(アンパカ.TV)」サービスがあります。このような共通のオープンプラットフォームを確立するには、ストレージ・ソリューションが最も重要な鍵を握っており、ジェローム・ルキャットCEOが強調する、「容量」「パフォーマンス」「使いやすさ」という3つの「拡張性」を備えたソフトウェア・デファインド・ストレージが、これまでの専用ストレージと比肩する、最も有効なソリューションの1つであると考えております。

  このような新しいソフトウェア・ストレージ時代の幕開けに相応しい、ジェローム・ルキャット氏のフランスの「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」の「スタートアップ・オブ・ザ・イヤー」(最優秀起業家賞)受賞を心より祝いたいと思います。

  なお、本日(10月20日)の日本経済新聞(朝刊10面)に、Scality社CEOのジェローム・ルキャット氏、慶應義塾大学 環境情報学部長・教授の村井純氏と私の対談が掲載されておりますので、宜しければこちらもご覧ください。

平成27年10月20日
 代表取締役会長兼社長CEO
 藤原 洋




 

『ブロードバンドタワー・ビジネス・エクスチェンジ・ミーティング』(第1回)を開催して

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   去る11月18日、これまで開催してきた「ユーザー会」を「BBTower Business Exchange Meeting(ブロードバンドタワー・ビジネス・エクスチェンジ・ミーティング)」と改称し、再出発させて頂きました。このたびは、当社の法人ユーザー企業に加えて、協力企業、金融機関などの皆様がご参加頂き、参加者相互の共同事業を促進する場を提供することで、当社の役割を再定義・再認識頂くためのイベントとして開催いたしました。なお、当日のプログラムとしては、以下のような内容で進めさせて頂きましたところ、大変な好評を頂きました。

●開催挨拶:
 株式会社ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEO
 藤原洋
●特別講演:『昨今のデータ経営を支えるサイバーセキュリティの勘所』
 株式会社ラック 取締役専務執行役員CTO、
 株式会社ブロードバンドタワー 社外取締役
 西本逸郎氏
 本講演では、日本年金機構の情報流出問題等をケーススタディとして企業や組織の情報セキュリティ管理体制・管理手法に関する要点を分かり易く解説して頂きました。
●ユーザー企業代表講演1『Isilon: Informative Tips』;
  EYビジネスイニシアティブ株式会社様       
    (*EY:アーンスト・アンド・ヤングは、米英拠点の世界4大監査法人グループ)
 本講演では、当社の提供するストレージ・ソリューションに対する技術サポートによって、EY社の国際的なシステム開発が完了し、安定運用が実現した事例が紹介されました。
●ユーザー企業代表講演2『クラウドゲームでスマホアプリが大進化!』
 ブロードメディア株式会社様
 本講演では、当社のデータセンター第1サイトを用いた、レイテンシー(遅延時間)の制限が厳しいクラウドゲーム事例として、据置型ゲーム機で大ヒットしたゲームコンテンツのクラウドゲーム化が紹介されました。
●BBTowerビジネス発表『Next Action』
 株式会社ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長 CEO 藤原洋と米国EverySense, Inc CEO 真野浩氏(工学博士)との「IoTビジネス」対談
   最初に私から、当社の次世代ビジネスの中心となるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)のインターネット技術トレンドにおける位置づけ、その歴史、欧米における技術動向・市場動向、国際標準化動向、一般財団法人インターネット協会におけるIoT推進委員会の活動について解説させて頂きました。その後、EverySense社との資本・業務提携の概要についてお話させて頂きました。
  次に、EverySense社CEOの真野浩氏から、同社技術の紹介と事業戦略について解説して頂きました。

  以上の講演会の後は、講演者および参加者全員による交流会を行いました。今回から主旨として、当社の提供するサービス、製品の法人ユーザーの皆様への感謝を表する会としてだけではなく、参加者の皆様の新たなビジネスチャンスを創出する会とすることとしました。その結果、参加者の皆様からは、講演会と交流会を通じて、大変有意義であったという多くの声を頂きました。

  このような当社の取り組みは、図に示すような、最近発表させて頂いた当社の提供する「マルチクラウド・サービス」に代表されています。これは、国内で初めてクラウドセキュリティ認証制度の「STAR認証」を獲得した当社クラウドサービスのc9に加えて、アマゾン・ウェブ・サービスの提供するAWS、およびマイクロソフト社の提供するマイクロソフト・アジュール(Microsoft Azure)を組み合わせ、一社だけではなく、多くのパートナー企業連合を構築し、多様化する顧客ニーズに応えようとするものです。今回の『ブロードバンドタワー・ビジネス・エクスチェンジ・ミーティング』を契機に多くのパートナー企業の皆様と共にIoTと動画配信時代の新市場を開拓していきたいと考えております。

平成27年11月25日
 代表取締役会長兼社長CEO
 藤原 洋 



 

アンパカ.TV『藤原洋のサイエンス・カフェ ガリレオ・ガリレイ』の開始に際して

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~動画配信ならではの科学技術分野の第一人者との直接対談~

  インターネットは、電話のための通信ネットワーク、TVのための放送ネットワークと異なり、コンピュータのためのネットワークとして科学技術の粋を集めて生まれ、今も進化し続けています。インターネットは、電話に次いで、いよいよTVの機能も包含するネットワークへと発展しようとしています。それこそが、今後大きな潮流となりつつあるインターネットによる動画配信です。当社は、現在進行しつつある2つのインターネット革命、即ち、「IoT」革命と「動画配信」革命の牽引役を務めることで、新産業創出に貢献したいと考えております。

  そこで、当社は、全く新しいインターネット動画文化の創造を目指して、動画配信サービス『アンカーパーソン.TV(略称:アンパカ.TV)』を開始しました。これは、それぞれのジャンルでのアンカーパーソンが中心となって社会に情報発信するものです。
 今回、私自身が、専門分野である「科学技術」におけるアンカーパーソンとなって、科学者の人間像とは?各分野での現状は?これからどこへ向っているのか?そしてその発展の先には、どのような未来が待ち受けているのか?というテーマに取り組んでみたいと思います。当番組では、ノーベル賞受賞者など「科学技術」分野の第一線で活躍中の方々をゲストとしてお招きして、最先端技術に関する研究内容、その研究が今後の日本や世界にもたらす影響などについて対談いたします。

  また、このシリーズの対談の中でのテーマについて、私自身の視点を通じ、最先端技術について分かり易い解説を試みたいと思います。各テーマで生まれる発明・発見によって生まれる、新たなライフスタイルと新たなビジネス展開の可能性についてゲストと語り合いたいと思います。

  私自身の科学技術分野での体験を少しご披露しますと、学生時代は、宇宙物理学を学びましたが、途中からその道具としてのコンピュータサイエンスに興味が移り、ディジタル信号処理とコンピュータネットワークでの博士号を取得しました。これまでを振り返ると、企業における制御用コンピュータの開発とローカルエリアネットワークの開発、そして国策での官民研究開発機関におけるディジタル動画像符号化アルゴリズムと半導体チップの開発等を行ってきました。この間に、11人のノーベル賞受賞者を輩出した米国ベル通信研究所での研究生活等を通じて感じたことは、科学者や技術者の原点は、好奇心と探究心であり、先入観に囚われない自由な発想を育む組織と社会の重要性です。

 過去の20年(1994年から2014年)の間に、Fig.1に示すように経済大国のGDPを比較すると、日本、米国、中国、ドイツの中で、減少しているのは、日本だけであり、米国は2.4倍、中国は17.8倍、ドイツは1.6倍の成長を果たしています。その原因は人口減少や高齢化ではなく、イノベーション指向の低下であると考えられます 

  
 Fig.2は、MIT(米マサチューセッツ工科大学)が毎年発表しているイノベーティブ企業ベスト50ですが、米国、中国、ドイツの企業が多くランクインする中で、日本企業は、1社もランクインしませんでした。このような失われた20年から日本が脱却し、新しい未来を創るために何よりも今求められているのは、科学技術を基本としたイノベーションであると思われます。 

  
 今回より、スタートいたします『藤原洋のサイエンス・カフェ ガリレオ・ガリレイ』では、このような問題意識から、多くの企業、官公庁、学術研究機関、学生、少年少女の皆さんに科学技術の意義と楽しさを感じて頂きたいと思っております。

【第一回目のテーマは“人工知能”】
 第一回目のゲストは、ベストセラー著書『2045年問題 コンピュータが人類を超える日』 ;(廣済堂新書)の著者で、当社のAI2(AIスクエア)オープンイノベーション研究所 所長でもある、松田 卓也氏をお招きし、人工知能の現状や人工知能がもたらす未来について、 また松田氏の生い立ちや座右の書についてもお話し頂き、「科学者 松田卓也」の人物像に迫ります。

                                                                   
【番組の概要】
番組名:『藤原洋のサイエンス・カフェ ガリレオ・ガリレイ』
配信日:毎月一回 16:30~17:00(30分の生放送)
第一回放送:2015年12月22日(火)16:30~17:00
出演:藤原 洋
第一回ゲスト: 松田 卓也氏(神戸大学名誉教授)

平成27年12月22日
 代表取締役会長兼社長CEO
 藤原 洋 



 

2016年をIoTとAIビジネス元年とする当社の事業戦略について

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~GITV(グローバルIoTテクノロジーベンチャーズ)とAIスクエアの目指すもの~

 IoT時代の到来を予感させた2015年には、IoTに関するいくつかの業界団体が始動しました。当社も、私が理事長を務めるインターネットに関する業界団体のIAjapan(一般財団法人インターネット協会)内にIoT推進委員会(委員長:藤原洋、最高顧問:坂村健 東京大学大学院情報学環教授)が設置されたことを受けて、同委員会の事務局機能を果たすと共に、2015年7月より、積極的な委員会活動を開始致しました。具体的には、IAjapan加盟企業が参加する3つのワーキンググループを通じて、IoT産業の創出に向けた、参加企業間連携による共同事業の可能性の検討に着手致しました。この流れを受けて、2016年には、IoT共同事業における企業間連携の枠組みを確立したいと考えております。当枠組みにおける当社の役割は、高度なセキュリティ機能が要求されるIoTサービスに最適な、堅牢なインターネット・データセンター、STAR認証(英国規格協会と米国クラウド・セキュリティ・アライアンスの合同認証)ゴールドレベル認定を受けたクラウドサービスの提供、ストレージ・ソリューション、およびIoTデバイスから収集される非構造化データのビッグデータ分析です。
 
 また、既存の枠組みを超えるイノベーションについては、新技術の研究開発を担うIoT分野における国内外のベンチャー企業に投資する新会社、グローバルIoTテクノロジーベンチャーズ株式会社(GITV)の設立を決定しました。同社の代表取締役には、15年のベンチャーキャピタル業界の代表的存在である安達俊久氏が就任する予定で、ファンドマネージャーには、技術をバックグランドとした上場経験者、米国系インターネット・テクノロジー系企業の経営幹部経験者等が就任予定です。当社は、近未来における連結子会社GITV社の連結収益への貢献を期待すると共に、同社が出資する先端ベンチャー企業との提携による新サービスの企画・立案・実行を模索していく予定です。

 AI(Artificial Intelligence、人工知能)研究は、第3次ブームを迎えました。当社も、研究活動の成熟度から、ビジネスとして参入機会が到来したと判断しております。そこで、AI研究の歴史を振り返ると、第1次ブームは、1956年のダートマス会議でジョン・マッカーシーによって命名され、人間の脳とコンピューターのCPUは類似性が高く、記憶に相当するメモリがあり、コンピューターは人間と異なり、24時間寝ないで働き続けられるから、圧倒的にコンピューターのほうが有利だと考えられ、米国政府が莫大な予算を投下したのでした。特に、自然言語処理による機械翻訳の研究で、米ソ冷戦時代にロシア語の翻訳者が求められていたからですが、1965年に機械翻訳は無理というレポートが出て、冬の時代に入りました。第2次ブームは、1970年代後半から80年代にかけてで、「エキスパートシステム」の開発が注目され、医療で特定分野の病気の治療法と薬の処方箋を教えてくれるコンピュータ・システムの方が、新米の医者よりも診断成績が良かったためです。この結果、日米の大手電機メーカーが人工知能部門を設置しました。当時の通商産業省は550億円を投じて「第五世代コンピューター」プロジェクトを立ち上げましたが、成果は、期待外れでした。今日の第3次ブームは、第2次ブーム中に登場した「ニューラルネットワーク」の進化型で、脳の神経細胞の回路に近い仕組みをコンピューターでつくると、脳と同じようなことができるのではないか、という発想を進めたものです。これは、特定入力に対応する出力をたくさん設定し、ネットワークの重みを機械学習させると、正答率が上がるというものですが、目立った成果は上がらずじまいでした。2000年代半ばに、トロント大学の英国人ジェフリー・ヒントンが、ニューラルネットワークの階層を4層、5層と増やし、精度の高い機械学習の実現に成功し、「ディープ・ラーニング」(深層学習)の研究が、今の第3次AIブームの幕開けとなりました。当ネットワークの階層を7層、8層と深くするにつれて、例えば、画像認識率が一気に向上します。

 当社としては、この深層学習に基づくAIに加えて、別のAI(After Internet、インターネット登場以後)の概念を併せた、インターネット企業に相応しい、AI(Artificial Intelligence、人工知能)ビジネスを実行する事業主体として、AIの二乗という意味で、当社100%出資の株式会社AIスクエアを昨年(2015年)12月に設立致しました。同社の代表には、富士ソフト株式会社やコールセンター企業の合理化プロジェクトでAI事業責任者を歴任してきた石田正樹氏が就任しました。同社は、2つのAI技術を基礎とし、石田氏のAI研究的視点ではなく、AIビジネス的視点での事業展開を行う予定で、本年(2016年)をその最初のAIビジネスが始まる年にしたいと考えております。

                                                         平成28年1月20日
                                                        代表取締役会長兼社長CEO
                                                        藤原 洋 

日本のベンチャーキャピタルの課題とグローバルIoTテクノロジーベンチャーズ株式会社の設立について

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 政権交代以来、日本経済の再生を模索するアベノミクスの様々な政策の中で、日銀による金融政策、財政出動の効果は、現れていると思いますが、この2つに加えて、最も重要なのが、民間主導の成長戦略だと考えます。

 特に、成長戦略の中でも最も重要な具体化が、オープンイノベーションによる新産業創出だと思われます。そこで、今回は、IoT産業創出のための国際的ベンチャーキャピタル事業を行うべく、新たに、本日、設立しましたグローバルIoTテクノロジーベンチャーズ株式会社(以下、GITV社)について、その背景と活動方針について述べてみたいと思います。

1.オープンイノベーションによる新産業創出の必要性

 新産業を創出するのは、技術革新が起こっている分野におけるベンチャー企業の創業と、大企業の同分野における事業参入の相互作用が起こることにあります。ここで日米におけるGDPの成長の差を比較してみますと、1990年代前半から起こった技術革新はインターネットで、1994年から2014年までの20年間でのGDPの変化は、日本は、4.8兆ドルから4.6兆ドルと微減していますが、米国は、7.3兆ドルから17.4兆ドルへと2.4倍に増大しています。その要因は、20年間に起こったヤフー、グーグル、アマゾン等の新興企業が創り出した新経済の価値創造によるものです。実際に米国の20歳未満の新興企業上位10社と、日本企業の上位10社(20歳未満の企業はゼロ)の時価総額は、各々1.26兆ドルと1.068兆ドルとなっており、米国で新たに起こった新興企業上位10社総額が、日本の既存企業上位10社総額を上回っています。

2.日本のベンチャーキャピタルの課題

 ベンチャー企業による新産業創出にとって重要な役割を果たすのが、VC(ベンチャーキャピタル)でありますが、日本のベンチャーキャピタルには多くの課題があります。元来、ベンチャーキャピタルとは、設立直後ないし成長初期の企業への投資、またはそのような投資を行う企業で、本場の米国にはベンチャーキャピタルは600社以上あり、多くは金融機関の系列に属していない独立系の会社になります。そこで、日米の比較から、いくつかの課題をまとめてみます。

 第1に、日本では、VC投資額が、日米欧の中で、圧倒的に低いという課題があります。具体的には、米国が約2兆円、欧州が約5000億円、日本が約1000億円となっています。この結果、日本では、VC投資額のGDP比が、圧倒的に低く、 1位:イスラエル、2位:アメリカ、3位:スウェーデン、4位:スイス、17位:韓国、26位:日本となっています。

 第2に、日本のVCは、金融機関系が多く、ベンチャー企業関係者の参入が少な過ぎるという課題があります。日本とアメリカのVCの属性別構成比 日本:約60%が金融機関系に対して、米国:約80%以上が独立系となっていますが、このことは、日本のVCには、事業の中身を理解しているVCが圧倒的に不足しているという課題があると言えます。実際に、日本のVCで、最もパフォーマンスが高いのは、金融系ではなくベンチャー企業経営出身のキャピタリストであることからも分かります。

 第3に、投資規模が圧倒的に小さいという課題があります。実際に、図に示すように、米国・欧州・日本の1件当たり投資額を比較すると、米国では約10億円、欧州で約4.5億円、日本では約8000万円となっています(出典:経済産業省)。

3.日本経済の課題克服を目指すGITV社の活動方針

 以上に述べましたように、日本経済を牽引し、GDPの増大をもたらすオープンイノベーションを起こすには、技術革新の本質を正確にとらえ、日本経済全体に影響力を持ち、グローバルな連携を可能とするVCの存在が不可欠です。具体的には、事業経験の豊富なファンドマネジメントチームと1件当たりの投資規模を確保できることが重要です。今日、約20年前のインターネットが大きなイノベーションをもたらして以来、昨今の新たなトレンドである、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)は、これまでの情報通信産業を超えて、あらゆる産業にイノベーションを起こそうとしています。

 このような背景から、当社ブロードバンドタワーと以下のファンドマネージャーの共同出資によって本日、設立されたのが、ベンチャーキャピタルファンド運営会社(GP:ゼネラルパートナー)としてのGITV社なのです。GITV社は、有望な国内外のIoTベンチャー企業を発掘・育成すると共に、投資先ベンチャー企業と日本のIoT関連大企業との連携をもたらすことをミッションとし、以下のような特徴を備えた、全く新しいVCを目指しております。

(1)ベンチャー企業経験者を中心とするファンドマネジメントチーム

 事業会社系ベンチャーキャピタル経営の15年の経験を有し、共同出資者でもある安達俊久氏(前伊藤忠テクノロジーベンチャーズ社長、日本ベンチャーキャピタル協会元会長)をGITV社の代表取締役とし、ファンドマネージメントのメンバーは自らが技術経営者として起業と株式上場経験を有する経験者、シリコンバレーと強力なパイプを有する事業経験者を中心にファンドマネジメントチームを構成しています。具体的には、私自身も同マネジメントチームに入ると共に、木下剛氏(前シスコシステムズ合同会社CTOとしてシリコンバレービジネスに豊富な経験、インターネット協会副理事長)、荻野司氏(重要生活機器連携セキュリティ協議会〔CCDS〕代表理事、ユビテック社長として上場経験)、橋本康弘氏(医師、シリコンバレー在住、シリコンバレーテック代表、メディビック創業者として上場経験、日本ゲノム薬理学会副会長)を迎え、今後同マネジメントチームをさらに強化してまいります。

(2)業界中立な当社グループの特徴を活かしたファンド組成と投資先企業との連携と技術支援

 同ファンド組成には、日本経済の中枢を担う、IoT関連の大企業と金融機関を投資家(LP:リミテッドパートナー)として勧誘すると共に、LPとなるIoT関連大企業と投資先ベンチャー企業との事業連携を支援してまいります。

(3)当社グループによる投資先企業との連携と技術支援

 インターネット・データセンター、クラウドサービス(自社オリジナルサービスC9、アマゾンAWS、マイクロソフトAzure)、ストレージソリューション(EMCアイシロン、Scality)、人工知能(AIスクエア社)、ECプラットフォーム(BBF社)、決済ソリューション(Lyudia社)、IoTデータ交換サービス(EverySense社)を手がけている当社グループの総合力を活かして、投資先のIoTベンチャー企業との事業連携と技術支援を行ってまいります。

(4)IoT分野におけるグローバル視点のアドバイザリーボード

  国内外の世界的な有識者アドバイザリーボードとして、坂村健氏(IoT、東京大学大学院教授)、柏木孝夫氏(エネルギー工学、東京工業大学特命教授)、白井克彦氏(電気電子工学、早稲田大学前総長)、村井 純 氏(インターネット、慶應義塾大学教授)、黒川 清氏(医学、情報科学、政策研究大学院大学アカデミックフェロー)、アル・ピサーノ氏(機械工学工学、UCサンディエゴ教授)、ピーター・カウィー氏(国際関係、UCサンディエゴ教授、クアルコム社アドバイザー)、ウリケ・シェーデ氏(国際関係、UCサンディエゴ教授、日本テクノロジーイノベーションフォーラム責任者)を招聘し、様々な大学発ベンチャー企業の発掘、技術評価、投資先ベンチャー企業と大企業との連携方針等におけるアドバイスを受けてまいります。

平成28年2月24日

代表取締役会長兼社長CEO

藤原 洋


本格化する「インターネット動画配信」時代を迎えて

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~広告メディア市場が唯一拡大するインターネット~

 

 インターネットの普及が始まって20年以上が経過しました。その伝送媒体の変化をみると、最初の6年間(1994~2000年)はダイヤルアップ、次の10年間(2000~2010年)は固定ブロードバンド(ADSL、CATV、FTTH)を主体として発展して来ました。株式会社ブロードバンドタワー(以下、当社)は、ブロードバンド元年の2000年、正にブロードバンド・インフラのためのインターネット・データセンター事業をコア事業として創業し、その後、クラウド・サービス、ストレージ・ソリューション、Eコマース・プラットフォーム事業を立ち上げて、成長してまいりました。

 

 そして2010年から今日まで、スマートフォン+モバイル・ブロードバンド(4G)への進化を続ける中で、2015年からインターネットの世界は、2つの新たなステージへと変化しつつあります。その1つが、人間相手の究極の姿である「インターネット動画配信サービス」であり、他の1つが、モノのインターネットとしての「IoT/Big Data/AIサービス」です。当社は、第2創業期を迎え、既存事業の実績を活かしつつ、これら2つの新たなステージへと飛躍すべく、新事業を開始しました。

 

 このような状況の中で、今回の社長コラムでは、当社も昨年から開始した「アンカーパーソン.TV」に代表されるインターネット動画メディアを取り巻く、市場環境について考えてみたいと思います。

 

 インターネットのメディア価値を広告市場の視点から、概観してみますと、電通が2016年2月23日に発表した「日本の広告費に関する調査報告書(2015年 日本の広告費)」によると、2015年の日本の総広告費は前年比0.3%増の6兆1710億円で、2008年以降、リーマンショック、東日本大震災の影響を受けていたマイナス基調から2012年分以降4年連続し前年比プラスとなりました。中でもインターネット広告だけが、前年比10.2%増加となっていることが注目されます。

 

 

引用:ガベージニュース

 

引用:ガベージニュース

 

 TV広告市場の堅調さとインターネット広告市場の成長を背景として、消費者ニーズの多様化に伴い、同時に多数の視聴者獲得を標榜する放送と、多種少数視聴者を標榜するインターネット・メディアとの二極分化が、益々進行するように思えます。当社としても、昨年から試験的に開始した「アンカーパーソン.TV」の商用化についての検討を開始致しました。そのきっかけとなるのが、「ネットシネマ」の復活でもあります。当社では、固定ブロードバンド+PCの時代に、ネットシネマ・サービスを試験的に開始しましたが、当時は、インターネット動画としては、広告市場もインフラ整備も不十分で時期尚早ということで、商用化を見合わせた経緯がありました。あれから約10年が経過し、広告メディアとして唯一市場拡大するインターネット新時代を本格的な「インターネット動画配信」時代ととらえ、新たなB2Cサービス事業の商用化とその拡大に努めていく所存であります。是非、ご注目頂ければと存じます。

 

平成28年3月23日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋


 

一般財団法人インターネット協会での『中欧交流委員会』の活動の意義について

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~オーストリアとハンガリーとの交流から創出する新IoT市場~

 

 中欧とは、オーストリア・ハンガリーをはじめ、チェコ・ポーランド・クロアチアなどの中部ヨーロッパ地域を指します。特に、中欧は、政治経済が安定していると共に、欧米アジアと比較しても高度経済成長が始まったばかりの国々が集積しています。図1に示すように、日本のGDPだけが減少する中で、国際化が求められている日本企業にとって、中欧との交流は、大きな意義があるものと考えております。中でも、オーストリアは、歴史的に、現在も西欧諸国と東欧諸国とのゲートウェイとして機能してきました。特に、図2に示すように、ITの利活用は、世界最高水準にあり、このことで、過去20年の間に、欧米主要国の中でも突出した1人当たりGDPの増加をもたらしました。一方、ハンガリーは、人口は、イスラエル並みの小国ですが、コンピュータの基本原理を発明した、数学者のフォン・ノイマンやインテルの創業者アンディ・グローブを輩出するなど、イスラエルと同等に高度人材比率の高い国であり、近年10%以上の高い起業率(日本は、約4%)を誇っています。

 

 以上のような背景から、私が、2016年6月に理事長に就任した、一般財団法人インターネット協会において、『中欧交流委員会』の創設を提案させて頂きました。

 

 そこで、最近の同委員会の活動をご紹介します。去る3月10日の会合では、日本では昨年来、IoTが大きく注目を集めていますが、ドイツは国策として、世界中のモノが相互連携する世界『IoT』を活用し工場の生産性を向上させるIndustrie4.0を推し進めていることを取り上げました。次世代の産業革命としてIoTが注目を集め、工場内外の生産設備や製品、人間が相互につながり、「考える工場」を実現しようとしています。また、この「考える工場」はドイツの国内だけではなく、隣国に展開しながら国を超えて大きなネットワークを構築しようとしています。そこで、同委員会でオーストリア、ハンガリーにおける「中欧のIoT企業」の紹介とその連携方策について議論しました。同委員会の会合には、約50名の関係者が集まり、産学官による「中欧と日本との連携による新ビジネス創出」にとって大変有意義なものとなりました。

 

 具体的には、当社の主導する、新ベンチャーキャピタル運営会社GiTV(グローバルIoTテクノロジーベンチャーズ〔株〕)の紹介を行ったこと、経団連企業が多く参加している東京大学産学連携協議会の大学側の責任者の方が参加されたこと等から、中欧との交流から新たなインターネット、特にIoTビジネス創出のチャンスをつかもうという共通認識を得ました。

 

 オーストリア大使館商務部からは、現在EU内でICT分野はGDPの4.8%を占めており、成長戦略2020においてもICTの研究開発には強い重点が置かれていること、また、オーストリア、ウィーンは中東欧でICTに携わる中小企業が最も多くかつ集積しており、「東欧のICTホットスポット」として知られていることさらには、国際的ICT企業はウィーンにヨーロッパ拠点を置き、人件費を抑え東欧の優秀なプログラマーを雇用し、グローバル市場で活躍。オーストリアは、特にセキュリティ、マイナンバー対策(e-government)分野において優秀な人材と企業を輩出しており、2014年10月には、グーグル本社のセキュリティ・プライバシーポリシー担当副社長にオーストリア人のゲルハルド・エッシェルベック氏が就任したこと等が報告されました。

 

 元ハンガリー大使のシュディ・ゾルタン氏が代表を務める、シュディ・アンド・カンパニー社からは、 現在のコンピューターアーキテクチャーの基礎である「ノイマン型」CPU、日々の業務に不可欠なマイクロソフト・エクセルや最近話題のUstream、TEDでもおなじみのPrezi、これらのすべてがハンガリー人による業績であると述べられ、 今までは、主にアメリカで花開いてきましたが、現在では、ITエンジニアは花形の職業であり、ハンガリー在住のまま起業しグローバルな活躍を見せるITスタートアップが増加し、その特長は、技術水準の高さとスケールの大きさであること。また、数学者が自らロジックを実装、経営陣も研究者、医大出身の元経済大臣の起業家など、個性豊かで優秀な人材、非常に高度な製品や技術があふれている一方、ブランドとしての認知はまだまだ低いため合理的な価格水準でその恩恵を享受できるとあって、グローバル企業やシリコンバレーの著名スタートアップ等、目聡い企業は開発拠点にハンガリーを選びはじめていること等が報告されました。

 

 インターネット普及開始の1994年以来、GDPの減少は、日本だけであることを再認識し、大きく成長した中欧のオーストリアとハンガリー等、中欧との連携から、日本経済の発展を追求していきたいと考えております。

 

平成28年4月27日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

国家戦略特区でのグローバルIoTベンチャーカンファレンス福岡に参加して

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~福岡市MICEアンバサダー委嘱を受けてのIoTによる地方創生への道~

 

 このたび、私は、世界的なコンベンションの街=福岡市の、MICEアンバサダーを、高島宗一郎市長から委嘱されました。


 
 MICEとは、企業会議(Meeting)、企業の報奨・研修旅行(Incentive)、国際会議(Convention)、展示会・イベント(Exhibition/Event)を総称したもの(日本語でマイスと読む)であります。私の他には、舩山龍二氏(JTB相談役・元会長・社長)、各務茂夫〔かがみしげお〕氏(東京大学教授イノベーション推進本部長)、張樹英氏(香港日本文化協会理事)、都甲潔氏/都甲康至氏/中西洋一氏/藤枝守氏/若山正人氏、ペトロフ・ソフロニス氏(いずれも九州大学教授)が嘱されました。


 福岡市は、政府観光局統計でMICE誘致・開催は、6年間安定的に東京に次いで2位(3位以下は、京都市、横浜市、名古屋市です)となっております。特に昨年は、日本全国の増加分の約半分(83件)を福岡市が担っています。インバウンド(旅行・ホテル業界:外国人旅行者を自国へ誘致することの意味)が、製造業に代わる新産業として位置づけられており、特に私が委嘱されたのは、「IoTアンバサダー」です。


 アジアに最も近い政令指定都市の福岡市を、産業構造の転換(第二次産業から第三次産業への移行)が、進む中で、戦略的に日本再生の拠点とすることには、大きな意義があるものと思われます。


 福岡市の第1の特徴は、サービス産業の都市であります。高島市長によると、政令指定都市の中で唯一、福岡市は一級河川のない街で、製造業に向かないため、GDPの約90%が、サービス業とのことです。第2の特徴は、福岡市のスタートアップ企業の開業率で、東京都区部と政令指定都市の21大都市中で、開業率が2年連続1位になっています。

 

 このような背景の下に、2016年4月28日、起業都市=福岡市からの地方創生を目指す、『グローバルIoT ベンチャーカンファレンス 福岡』(主催:グローバルIoTテクノロジーベンチャーズ株式会社(以下、「GITV社」)、後援:福岡市、公益財団法人 福岡観光コンベンションビューロー、協力:ヤフー株式会社)、対象:投資家、スタートアップ企業、行政機関)を開催致し、参加させて頂きましたので、その概要についてご報告させて頂きます。

 

(1)福岡市合野弘一理事挨拶、(2)藤原洋の基調講演、(3)Liquid保科秀之社長講演、(4)パネルディスカッション「福岡流IoTビジネス創造とそのチャンスを探る」、(5)「GITV社の取り組み」(安達俊久社長)。

 

(1)合野 弘一氏(福岡市経済観光文化局理事)の挨拶


 今回のカンファレンスが福岡市で開催されることは、次の3つの点でタイムリーである。①国家戦略特区でグローバル。スタートアップ都市を目指していること。②MICE先端都市を目指していること。③IoT先端都市を目指していること。
 福岡市は、第3次産業が90%を占めており、北側にモノづくりの北九州、南側に面白い農業地帯が広がっており、様々なテストマーケティングができるユニークな都市である。
 また、福岡市は、IoT活用のチャンスがあり、アジアの国々に近いことから、今回のカンファレンスがきっかけとなり、グローバル市場への展開や、グローバル企業の日本へのテスト参入の促進機会になると思う。

 

(2) 【基調講演】「IoTと地方創生」藤原 洋


  これまでの失われた20年を振り返り、以下のことを指摘させて頂きました。
 ①交流のある10か国(米、英、独、仏、墺、中、韓、ハンガリー、イスラエル)の中で日本だけGDPが減少し、他の国々は2~3倍に増加していること。
 ②その原因は、岩盤規制と日本経済の東京一極集中と大企業一極集中にあること。
 ③これからの日本の未来は、IoTを基軸としたイノベーション(IoT / Big Data / AI  /5Gモバイル、ITSなど)による新産業創出と地方創生にかかっている。



(3)【ベンチャー成功事例企業講演】保科 秀之氏(株式会社Liquidマーケティング代表取締役)


 指紋認証ベンチャー企業としての成功を収め発展しているLiquid社の保科社長からこれまでの成功要因と福岡市での事業展開の意欲をお話されました。

 

(4)【パネルセッション】「福岡流IoTビジネス創造とそのチャンスを探る」
以下のようなパネルディスカッションが展開されました。


<モデレーター>
●木下 剛氏(前シスコシステムズ合同会社CTO、グローバルIoTテクノロジーベンチャーズ株式会社 マネージングパートナー)
木下氏からはシスコ前CTOの豊富な経験から本パネルの意義を述べられました。
①グローバルの新潮流としてのあらゆる産業のデジタル化
②IoTによるデジタルエコノミーが今後の産業と経済競争力を左右
③IoT分野で活躍する米国のVCとアクセラレータ
④第2次ブームに入ったIoTベンチャー

 

<パネリスト>

●合野 弘一氏(福岡市 経済観光文化局理事)
  福岡市は、スタートアップ国家戦略特区に指定され2年連続で開業率日本一である。スタートアップカフェを創設し、約100件/月の相談があり、起業も60件を超えた。若年率が高く起業気運は、益々高まっている。失敗体験のネットワークもできつつあり、会員の人材登録も進んでいる。成功だけでなく、失敗の活動事例報告がこれからの未来に役立つ。人間が人間らしく住みやすい街=福岡。コストが東京より格段に安い。周りに第1次・第2次産業もある。若い人が多く、色んなことが瞬時にコンパクトにできる。福岡市には、がめ煮、筑前煮、という食文化があり、これは、クロスカルチャーである。留学生も多く、色々なライフスタイルがある。それが、福岡スタイルである。


●桑原 広充氏(ドレミングアジア株式会社代表取締役CEO)
  佐賀県鳥栖生まれで、福岡市で開業した。その理由は、国家戦略特区であり、スタートアップコミュニティがしっかりしていること。グローバル進出(ロンドンなど)が、できたのは、福岡市の産学連携課が動いてくれたからとのこと。また、福岡の地の利が効いている。市の中心部から15分で福岡国際空港があるが、賃料が安くバーンレートを低く抑えることができた。さらに、ヨコのコミュニティが充実しており、Fintechだけではなく、IoTにも地の利がある。


●水田 千惠氏(ヤフー株式会社 スマートデバイス推進本部 myThingsエバンジェリスト)
  2014年10月にIoTサービスのmy Thingsを立ち上げた。IoTが寄り添っている姿は、バラバラでガラパゴス的な雰囲気がある。東京で産んでみんなで使おうではなく、皆さん各々のデバイスに近いところから生まれてくる。生活からのイノベーションが起こる。テクノロジーの進化からではなく、生活体験から生まれるだろう。my Thingsは、インターネットで生活を便利にすることを目指している。  先日世界最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル、SXSW(毎年3月に米テキサス州オースティンで開催、サウスバイサウスウエスト、10日間でのべ10万人、約380億円の経済効果をもたらす、世界最大級のビジネスフェスティバル)に行ったが、IoTデバイスよりもどういうサービスかに重点。


●大津留 榮佐久氏(福岡県ロボット・システム開発推進プロデューサー、一般社団法人OSTi〔オスティ〕代表理事)
  IoTの技術的本質は、半導体の側面がある。その際、IoTは、徹底的にスペックをそぎ落とした方が良い。たとえば、福岡市の屋台が安全で綺麗で制御対象をしっかりと限定できる。「屋台を守りたい」というテーマを例に挙げると、最初の需要は、公共で創り、福岡市は、ノリが良く明るくコンパクトで進みやすい。サービスの実装は、あっという間に、ここでできるだろう。福岡市は、シリコンバレーとは違い、キーワードは「横串」である。業際、学際、国際、これを福岡市から全体をヨコ通しにして極めること。ヨコ通しするデータという経済価値が生まれる。九州には、テクノロジストは、一杯いる。これからは、ストラテジストとクリエータの出番だ。


 

 

(5)【記念講演】「IoTスタートアップが牽引するデジタル・トランスフォーメーション」

 安達 俊久氏(グローバルIoTテクノロジーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長)


  豊富な事業サイドからのベンチャーキャピタル事業(前伊藤忠テクノロジーベンチャーズ

社長)の経験を元に以下のお話をされました。
①世界各国のVC投資額とGDP比較。②VCファンドがもたらしした経済効果。③内部留保の罠。④特許戦略の有無。⑤投資判断のポイント。⑥ベンチャー日米比較。⑦スタートアップ成功5つの必要条件。⑧技術系ベンチャー成功への期待。⑨奇人・変人が尊重される社会を目指して。⑩IoTファンド事業推進体制。⑪GITV社の特徴。⑫GITV社のメンバー紹介。⑬安倍首相とネタニヤフ首相(イスラエル)を訪問時の話題。  

 

 

平成28年5月25日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

 

 

イスラエルの大学・政府・ベンチャー企業を訪問して

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~イスラエルとの交流による日本における新産業創出への期待~

 

 知る人ぞ知る、アルバート・アインシュタインが中心となって1912年に設立し、MIT(マサチューセッツ工科大学)と並び、飛びきり優秀な人材が集まっているテクニオン(国立イスラエル工科大学)のペレツ・ラビエ学長からの依頼で、看板の1つのコンピュータサイエンス学科で、特別講演をするためにイスラエルを訪問し、イスラエル政府、そして多くのベンチャー企業経営者との会談を行いました。今回は、その概要についてご報告させて頂きます。

 

【イスラエルの概要】
●建国:1948年5月14日 ●面積: 22,072km2(153位) ●人口:8,157,300人(2014年)、
●一人あたりの名目GDPは37,222.38米ドル(2015年)で、36,221.81ドルの日本より高い。OECD加盟の先進国。
●GDP当たりのベンチャー投資額ダントツの世界1位、2位の米国の約2倍。
●GDP当たりの科学技術研究費(国家予算)は、ダントツの世界1位。
●イスラエルの支配地域は、22,072km2である。国土は狭く、南北に細長い。南北には470kmあるが、東西は一番離れた地点間でも135kmと狭い。車での走行時間は、北のメトゥーラから最南端の町エイラットまでは約9時間かかるが、西の地中海から東の死海まで約90分の細長さ。


【イスラエル小史】
 約3000年前のダビデ王によるイスラエル国家の確立の後、流浪の民となったユダヤ系の人々にとって、イスラエル建国は、悲願でした。3000年の歴史の中には、宗教戦争に翻弄された時期が長く続きましたが、1914年に第一次世界大戦が勃発、オスマン帝国はドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国の三国同盟側で参戦。イギリスは戦争を有利に進めるため、「三枚舌外交」を展開し、1918年に勝利を収め、イスラエルとパレスチナ自治区は、イギリスの占領統治下となりました。その後も、1929年「嘆きの壁事件」勃発など、不安定な時期が続きました。決定的だったのは、ナチスのホロコーストが伝わり多くのユダヤ系の人々が震撼し、移民が加速したと言われています。その後、イギリスは委任統治を諦めパレスチナ問題について国際連合の勧告に委ね、結果として、国連の調査委員会では、ユダヤ人の国家とアラブ人の国家を創設する分割案と連邦制国家案を提出し、最終的に分割案が国連総会で採択。イギリスは1948年5月15日をもって委任統治を終了し、緊迫した状況下で、ユダヤ人は1948年5月14日イスラエル独立宣言が実施されました。


 その後、イスラエルには、第1次から第4次中東戦争を含めて、動乱の近代史と現代史がありました。しかし、今は、比較的安定しています。イスラエルは、人口シェアで0.3でありながらノーベル賞シェア約25%、フィールズ賞約40%を占める頭脳集団であります。ユダヤ系の人々による悲願の国であり、インターネット時代にGDPが3.6倍に増え1人当たりGDPは、日本を追い越し、最も発展を遂げている国なのです。

    
 戦後、アメリカや、多額の賠償金を支払って関係を修復したドイツも含めて欧米がどれだけ、この小国との連携によって発展を遂げたかは、言うまでもありません。日本は、主として、石油と天然ガス資源の確保の観点からアラブ諸国との外交は、重要ですが、同時に、無資源国としての今後の方向性を探るとき、イスラエルとの連携は、極めて重要な時期にさしかかっているのではないかと思います。


 以下に主なイスラエルの人々との面談結果を以下に紹介します。
●イスラエル最大のベンチャーキャピタル=JVP訪問
イスラエル政府の特別な取り計らいで、充実したテルアビブ訪問となりました。最初に、後述のOCSの会議室で、JVP(Jerusalem Venture Partners)は1993年設立、総額900M$で、同パートナーのKobi Rozengarten氏(テクニオン〔国立イスラエル工科大学〕のボードメンバー)と面談し、イスラエルでの様々な共同事業の可能性について意見交換をしました。


●MATIMOP〔イスラエル経済省による国際的な研究開発の支援組織〕
ここは、Office of the Chief Scientist (OCS))の人々で、意見交換して、日本企業を色々誘って、イスラエルにR&Dセンターを作ろうという話をしました。因みに、インテル社のR&Dセンターの中で、最も強力な頭脳集団は、イスラエルにあるとされています。

経済省のNoam Bar-Gal氏・Dagon Alony氏、MATIMOPのHadas Kroitoru氏

    

●SecuriThings社のCEO=Roy Dagan氏との面談
 IoT 時代の様々なセキュリティリスクの把握とそれに基づくシステム設計の重要性について意見交換し一致しました。


●Cloud of Things社のCEO=David Chouraqui氏との面談
 IoT時代のクラウドサービスについて、無線モジュールからエッジコンピューティングとクラウドコンピューティングのエンド・トゥ・エンドのシステム設計が重要だということで意見が一致しました。


●イスラエル政府経済省・投資関係部門長 Hovav Ref氏との面談
 私が、日本とイスラエルとのスタートアップ投資の窓口を務めようということでかなり前へ進みました。

 

●TTT(Technion Technology Transfer)社のCEO=Benjamin Soffer氏とのディナー
 テクニオン(写真14、国立イスラエル工科大学)で開発された技術移転のためのライセンス会社で、日本企業との連携の支援をしようということで意見が一致しました。

 

【国立イスラエル工科大学(テクニオン)を訪問】
 私は、このたび、テクニオン・ジャパンの諮問委員に就任したことをきっかけとして、テクニオンを中心とするイスラエルと共に新たな変化を起こしたいと考えています。それは、これまで日本が辿ってきた「改良」による経済ではなく、「創造」による新しい経済を創ることです。


 そのためには、偏差値教育による試験勉強で良い成績を取ることとは異なるアプローチが必要だと思います。イスラエル人と日本人との類似点は、ノーベル賞とフィールズ賞受賞者が多く、単一民族国家で、西欧社会から白人優越主義者から差別を受ける側にいた点です。


 「科学」にとって、最大の障壁は、権威主義や権力主義や拝金主義や差別主義に陥る点にあると思います。事実に基づき、真理を追究することが「科学」だとすれば、「科学」にとって、「権威」や「権力」は無意味であり、「金銭」は「目的」ではなく「手段」です。かつて、アインシュタインがナチスドイツの迫害を受けて、イスラエルに思いを馳せてテクニオンとヘブライ大学を創立し、米国に渡り、カリフォルニア工科大学、プリンストン大学等で学ぶ多くの科学者を育てました。


 このたび、ペレツ・ラビエ学長室を訪れた時、どこか愛嬌のあるアインシュタインの人形が飾ってありました。私は、これを見て一瞬にして価値観を共有した気がしました。この人と、この大学と、この国と新しい世界を創っていきたいと思いました。意気投合するのに、多くの言葉も時間も必要ありませんでした。自己紹介をするまでもなく、私のことは、色々調べていたようで、直ぐにこれから、こんなこと、あんなこと、一緒にやろうよと、話が一気に進みました。

 


【テクニオン・イスラエル工科大学とは】
(http://www.technion.ac.il/en/) 歴代のノーベル賞受賞者の約4分の1、フィールズ賞受賞者の約40%を占めると言われる世界に散らばったユダヤ系の人々の研究者の頭脳ハブセンター。
http://www.technionjapan.com/about/about02.html
https://www.coursera.org/technion
 1912年に設置されたイスラエルを代表する同国最古の国立工科大学であり、当時アインシュタインが中心となり理工学研究を行い、ナチスのヨーロッパ、旧ソ連から逃れてきた10万人ともいわれる科学者、技術者を中心にそのレベルを上げました。
●合計18の学部及び教育機関を擁し、ノーベル賞受賞者2名も教鞭をとる。
●研究・教育水準はマサチューセッツ工科大学と肩を並べ、世界最高水準を誇る。特に大学病院及び医学部がある点はMITと違う特色。
● 世界の多くの一流企業(マイクロソフト、Google、Apple、Facebook、Intel、Philips、Siemens、etc.)が人材を囲い込むなど、優れた学生、研究者の輩出機関としても有名。
● 卒業生の大半が自ら事業をスタートアップ。今までに米国NASDAQに70社以上が上場を達成。この点が他大学と違う大きな特色。

 

平成28年6月22日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

電波政策2020懇談会が終了しました。

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~「電波という国民的資源をどう活用するか?」有識者会議~

 

 このたび、電波政策2020懇談会が、去る7月15日の最終回をもって全部の審議が終了しました。昨年(2015年)1月26日に第1回を開催し、2つのサブワーキンググループと2つのタスクフォースで合計34回の会合がなされ、その結果が報告書となり、多賀谷一照座長から松下新平総務副大臣に手渡されました。

 

 この最終回会合では、パブリックコメントに対する最終報告書への反映について事務局からの報告の後、私から、主としてモバイルサービスタスクフォースでの議論をふまえ、岩浪構成員と林構成員のご尽力で完成した、新たな電波利用によって生まれる様々な電波利用シーンのイメージ図について、説明をさせて頂きました。

 

●松下総務副大臣のコメント

 電波は、国民生活のあらゆる場面で重要な役割を担う。スタークホルダーは、多様であり、本報告書をもとに国民の皆さんにとって役立つよう政策に反映したい。本報告書は、政策に反映できる具体的な方向性が示されており、構成員の皆さんに敬意と感謝の意を表したい。

 

●輿水総務大臣政務官のコメント

 私自身もワーキンググループとタスクフォースに参加させて頂き、いよいよ最終回を迎え感無量である。構成員の丁寧で厳密な議論と作業に敬意と感謝の意を表したい。

 

●多賀谷座長のコメント

 本日説明されたイラストは、困難を伴うだろうが、意外と実現は早いと思う。地方のくらし、街歩きなど電波需要は高まっている。これまで電波利用料は、地デジの整備などに使われてきたがその整備期間は終了しようとしている。今後もIoT社会の実現へ向けて電波利用料の効率的な使用を望む。

 

●藤原からの説明とコメント

 今回の報告書の中で、5つの要素(①ウルトラブロードバンド ②ワイヤレスIoT ③次世代ITS ④安心・安全ワイヤレス ⑤ワイヤレス新市場)にフォーカスし関連付けてイラストを作成した。「スポーツの楽しみ方が変わる」「救急医療が変わる」「買い物が変わる」「防災・減災の仕組が変わる」「地方での暮らしが変わる」「街歩きが変わる」「仕事のやり方が変わる」「車の事故防止/ナビゲーションが変わる」「車の役割が変わる」「空港が変わる」という具体的なシーンを想定している。

 

 今回の報告書におけるキーワードは、5G、ITS、IoTであり、次世代の広域通信網の整備と共に、構内通信網と衛星通信網に関するあるべき電波利用の方向性が示された。約5か月半の短期間ではあったが、事務局が国際社会の動向を的確に提示してくれたので、スタートラインから世界のどの位置にいるかをきちんと認識した上で作成された、国際的にみても素晴らしい出来栄えの報告書に仕上がっている。日本経済は、エネルギー資源や鉱物資源を輸入・加工することで過去成長してきたが、今後の成長モデルは、異なるものになる。電波資源という資源を有効活用し、次なる経済成長を行うことで、知的で楽しく豊かな社会を目指すべきである。

 

なお、一連の活動内容と最終報告書は、総務省ホームページにて公開されています。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/denpa_2020/02kiban09_03000328.html

 


 

平成28年7月27日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

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