~2020年代の本命4Kコンテンツと5Gモバイルとの連携へ向けて~
2019年3月11日より、株式会社ブロードバンドタワー(以下、当社)は、凸版印刷株式会社(凸版印刷)と共同で、ジャパンケーブルキャスト株式会社(以下 ケーブルキャスト)のケーブルテレビ向け情報配信ネットワークを用いて、超高精細・高品質4K映像によるヒーリング効果や集中力の向上が期待できる、新たな映像配信サービスの提供に向けて、実証実験を開始しました。今回は、その背景と今後の展望について述べさせて頂きます。
GDPの約10%を占め日本最大の産業に成長し、日本経済の成長を牽引する情報通信産業の次なる成長分野に注目が集まっています。それは、明らかに超高速インターネットのための5Gと4K(超高精細映像)コンテンツです。当社は、社名の由来の通り、「ブロードバンド・インターネット上の東京タワー」を目指し2000年2月、業界初のIX(インターネット・エクスチェンジ、当時唯一のIXだったJPIXを誘致)直結型インターネット・データセンターとして創業しました。創業当時は、ADSL(電話線を利用した非対称型デジタル加入者線)の普及と共に、PC常時接続M(メガ)ビット接続時代を拓くポータル・サービス事業者向けのインターネット・データセンターとして成長し、2005年8月に株式上場を果たしました。
その後、2010年代に情報通信インフラは、ADSLから4Gモバイルへ、情報端末は、PCからスマートフォンへと進化してきました。そして、2020年代へと更なる進化を続けるのが、情報通信産業です。ブロードバンドタワーは、2020年代へ向けての進化の本質を5Gモバイルと4Kコンテンツであると位置付け、当社は、上場後初の創業当時の約3倍にのぼる大規模投資を行って、昨年(2018年)8月に5Gデータセンターとしての新大手町データセンターを開設しました。
今回の実証実験の狙いは、本命となる4Kコンテンツにとっての情報配信インフラである5G環境が整備される前段階において、既に情報配信が可能となっているケーブルテレビ網を利用することにあります。4Kコンテンツを表示できる情報端末は、既に低価格化が始まった4Kテレビと、来年から登場する5Gスマートフォンです。地上波テレビ放送の4K対応計画は、当面ありませんので、4Kコンテンツ提供事業者にとっての配信インフラは、ケーブルテレビ網、衛星放送網、および超高速インターネット網の3つとなります。また、配信インフラ事業者の立場からは、次なる成長領域を4Kコンテンツにあると位置付けています。
このような状況の中で、当社が、最も注力しているのが、5Gモバイルによる超高速インターネットです。そして、5G時代を先取りするために、新大手町データセンターには、JPIX(KDDI系)、JPNAP(NTT系)、BBIX(ソフトバンク系)の三大キャリア系IXの誘致を行いました。このような取り組みを高く評価して頂いたのが凸版印刷です。図1に、私も中心メンバーとして活動してきた5Gの技術基準、免許割当などについての有識者会合である総務省新世代モバイル通信システム委員会(図2参照、2017年当時)で作成した5Gモバイルの特徴を示します。図1に示すように、5Gモバイルの特徴は、4Gと異なり新たに加わる対象領域として、自動車分野、産業機器分野、ホームセキュリティ分野、スマートメータ分野、その他IoT分野とされています。凸版印刷は、これまでは、紙の印刷分野におけるトップ企業ですが、4Kディスプレイ技術と5Gモバイルの登場により、紙の解像度と共通領域が生まれ、高成長が期待される情報通信産業での提携先を模索されていました。当社は、凸版印刷がこれまで蓄積されてきた4Kコンテンツを、現時点で利用可能なケーブルテレビ網における実証実験を経て、本命とされる5Gモバイルへ向けて新大手町データセンターから配信したいと考えております。
最後に、凸版印刷をはじめ、今後は、図1に示した5Gの新対象領域の産業分野を支えてきたトップ企業群の提携パートナーとして、5G時代を牽引する企業として新たな成長フェーズに入りたいと考えております。
図1 5Gモバイルの特徴
図2 情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会
図3 4Kコンテンツ配信の仕組み
2019年3月26日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋