~2022年11月10日 ブロードバンドタワー 顧客・パートナー企業へ~
これまでコロナ禍の中で、オンライン開催に限定してきたBBEMが、3年ぶりにリアル開催となりました。
BBEMは、ブロードバンドタワー (以下、当社) の顧客とパートナー企業に向けての当社の発表の場であると共に、当社の事業と深いつながりを持つ方々との新たなビジネスチャンスを探る場として大変好評を得てきました。今年は、久々のリアル開催ということもあり、多くの方々にご参加頂き、講演会での質疑応答、講演会後の交流会でも活発な議論が、交わされました。
●講演会
日時: 2022年11月10日 16:00~17:50
場所: 東京ドームホテル 大宴会場「天空」
〇講演1
『インターネット業界を取り巻く経営環境と当社の事業戦略』
株式会社ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEO 藤原 洋
〇講演2
『ランサム対峙の時 ~デジタル社会の厄介者とその対応~』
株式会社ラック 代表取締役社長 西本 逸郎 氏
ランサムウェアとはどういうもので、いつ始まり、長年にわたって、かなり進化してきたということについてお話されました。そして、最近では、大阪の医療法人が攻撃された例を引き合いに、攻撃者への対処法や事前の防御のための取組についてお話されました。
聴講者からのリアリティのある質問に対しても的確に回答頂いた上に当社のサイバーセキュリティ・ソリューションの宣伝もして頂きました。
●私の講演の概要
題名:『インターネット業界を取り巻く経営環境と当社の事業戦略』
私は、当社から見た、内閣府とデジタル庁を中心とした日本政府の戦略と、デジタルテクノロジーの技術・市場動向と当社の事業戦略について以下の目次に従ってお話させて頂きました。
【目次】
1. デジタル田園都市国家構想とは
2. IXとDXとGXと共に変化するデータセンター業界
3. IXの変化とは?
4. DXのデータセンター業界へのインパクト
5. GXのデータセンター業界へのインパクト
6. ブロードバンドタワーグループの現状
7. ブロードバンドタワーグループの未来戦略
以下にその講演概要について示します。
1. デジタル田園都市国家構想とは
2021年に岸田内閣の下で指導した構想で、「デジタルによる地域活性化を進め、さらに、地方から国全体へ、ボトムアップの成長を実現」することを目的としています。本構想の全体像としては、以下の4点に集約することができます。
(1) デジタル基盤の整備
(2) デジタル人材の育成・確保
(3) 地方の課題を解決するためのデジタル実装
(4) 誰一人取り残されないための取組
そこで、本構想を実現するために、同構想を進める内閣府は、昨年新設されたデジタル庁と密に連携していくことが決定されています。そこで、本年6月に私の主催者代表のインターネット・テクノロジーの最大イベントとして毎年幕張メッセで開催されるInterop Tokyo 2022での当時の牧島かれんデジタル大臣と当社の社外取締役でもあり内閣官房参与・デジタル庁顧問の村井純 慶應義塾大学教授と私との鼎談の概要についてお話しました。
2. IXとDXとGXと共に変化するデータセンター業界
当社は、日本初の専業インターネット・データセンターとして2000年創業で、当時からデータセンターの重要性を主張してきましたが、あれから20年以上が経過し、新たなデータセンター業界の再構築が求められています。
そこで、データセンター業界にとっての重要なインパクトとは?ということで、以下の3つのXのインパクトについてお話させて頂きました。
(1) IXとの接続性 Internet Exchange
(2) DXへの対応 Digital Transformation
(3) GXへの対応 Green Transformation
3. IXの変化とは?~日本初の商用IX=JPIXの役割を例として~
私が1997年に日本初の商用IXであるJPIXの設立に関わった経緯について説明した後、アカデミズムの研究からインターネットの商用化と共に進化してきた過程についてお話しました。
そして、現在のIXは、1997年当初のISP(インターネット接続事業者)間の相互接続とは異なり、ハイパースケーラーと呼ばれる米国巨大IT企業の時代に新たな役割があることについてお話しました。
4. DXのデータセンター業界へのインパクト
デジタル庁が主導し、これまでの省庁個別のITシステムを1つの共通基盤であるガバメントクラウドを基本としたシステムへ2025年に移行することになるためデータセンターの役割は増大するという私の見通しについてお話しました。
また、DX市場は、現在の約8000億円市場が、2030年には、約4倍の3兆円を超える市場へ成長するため、日本のデータセンター業界は、DXセンターとしての役割へと進化し成長するという見通しについてお話しました。
5. GXのデータセンター業界へのインパクト
グローバルインフォメーションの調査によれば、カーボンニュートラル・データセンター市場は、2020年から2025年までの年平均成長率22.17%で、2020年の34億6,000万米ドルから2025年には94億2,000万米ドルになると予測されており、データセンター業界のグリーン対応は必須であり、当社もこのトレンドを主導する側に立ちたいということについてお話しました。
6. 当社グループの現状
現在、当社の主要ビジネスとしているデータセンター、クラウドソリューション、データソリューション (ストレージ) 、およびグループ会社としてのジャパンケーブルキャスト株式会社、株式会社ティエスエスリンクの主なサービスとソリューションについて説明しました。
この中で、特に重視しているのが、私の講演の後に株式会社ラックの西本社長がお話しされたランサム攻撃への対処としての新たなサイバーセキュリティ・ソリューションとして、カナダのSuperna社との提携に基づくランサムウェアディフェンダーについて紹介しました。
7. 当社グループの未来戦略
最初の日本の社会課題である「デジタル化の遅れ」と「首都圏一極集中」を解決する当社グループとしての立場を明確にお話しました。このため、前内閣府特命担当大臣・デジタル田園都市国家構想担当大臣の若宮健嗣 氏と共に、一般社団法人デジタル田園都市国家構想応援団の設立に加わり、自らが代表理事に就任したことについてお話しました。そして、本構想の担当新大臣である岡田直樹 デジタル田園都市国家構想担当大臣と河野太郎 デジタル大臣と個別に意見交換を行ったことにして述べさせて頂きました。
そして、特にデータセンター事業者として、IX、DX、GX時代を先導者となるために、国策、技術トレンド、マーケットトレンドに適合した事業展開を今後行っていくことを明言しました。具体的には、現在の都心型データセンターから、ハイパースケールデータセンター、地域DXセンター、エッジDXセンター事業への事業展開についてお話しました。
そして当社が中心メンバーとして参加している北海道ニュートピアデータセンター研究会の活動として、当研究会が主導する再生可能エネルギー100%による石狩データセンターが、総務省の補助金対象の7か所の1つに認められたことについてお話しました。
最後にまとめとして、以下の4点について述べさせて頂きました。
(1) データセンター(クラウド含む)市場は2桁成長が続く!
(2) データセンターはデジタル田園都市国家構想と共に!
(3) データセンター市場を変える要因=IX、DX、GX!
(4) データセンター市場は変化する(DXセンターへ)!
都心型⇒ハイパースケール型⇒地域HUB型⇒エッジ
●おわりに
今年は、久々のリアル開催ということもあって、講演は2つに絞り、質疑応答と、講演会後の交流会での時間を長くとることとしました。お蔭様で、参加者の満足度アンケート調査では、100%近い大変満足(約90%)と満足(約9%)という結果を得ることができました。
来年も業界に定着しつつあるBBEMを活用して、これからの1年間に、既存顧客維持・拡大と新規顧客獲得へ向けて取り組みを強化していきたいと考えております。
2022年11月24日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋